2026年9月前半の新規設定ファンドは、既存のインデックスファンドのシリーズを多様化し、新しい領域を提示する動きが目立った。ラインナップの拡充を積極的に行ったのは、りそなアセットマネジメントの「Smart-i」シリーズで、「Pro」シリーズも含めて投資テーマの多様化を行った。また、大和アセットマネジメントは「一歩先いく」シリーズで国内株の「防衛テック」を追加。フランクリン・テンプルトン・ジャパンは国内初の「韓国株式インデックス」を新設した。三井住友トラスト・アセットマネジメントは日本株で成功報酬型の「iPlus」を立ち上げた。
一方、アクティブファンドでは三井住友トラスト・アセットマネジメントが人気の高い「半導体革命」の世界株、および、国内株のファンドに「予想分配金提示型」を追加した。また、限定追加型では「アテネ債券/グローバル経済コア戦略」が約140億円で設定され、金利環境の変化を踏まえた資産複合型の需要が継続していることが確認できる。
今回は、「インデックスファンドの新潮流」をテーマに従来のインデックスファンドシリーズにプラスαの価値を付加した新シリーズのファンドを紹介したい。
投信ライターが選ぶ注目ファンド4本
●Smart-i Proシリーズ
りそなアセットマネジメントの「Smart-i Pro」は、インデックスファンドの手軽さと資産運用のプロによる知見を融合したシリーズとして2026年9月に新たに誕生した。
「Smart-i Pro 先進国リーダー55インデックス」(税込信託報酬:年0.352%)は、「ブルームバーグ先進国インダストリーエリート55指数」に連動する値動きをめざす。日本を含む先進国に上場する大型・中型企業から浮動株時価総額、売上高純利益率、ROA(総資産利益率)の3つの基準で11業種の上位5社、合計55社を選定し、業種分散を図りながら上位企業に集中するポートフォリオを作る。2026年7月にできたばかりの新指数だが、バックテストの結果、「全世界株式(オール・カントリー)」を直近10年で約40%アウトパフォームする成績になった。
「Smart-i Pro 米国リブート75インデックス」(税込信託報酬:年0.385%)は、2026年2月から算出開始された「ブルームバーグ米国業績改善企業75指数」に連動することをめざす。同指数は米国の赤字企業の中から黒字転換して業績改善が見込まれる「リブート銘柄」に着目したインデックスで、過去10年のバックテストの結果、「S&P500」を約90%アウトパフォームした。この指数に組み入れられる企業は2026年7月末時点で「S&P500」との重複銘柄が7銘柄、「NASDAQ100」との重複は5銘柄と既存のインデックスとは大きく異なっているため、米国株式に投資する新たな選択肢としても注目できる。
●一歩先いくシリーズ
大和アセットマネジメントの「一歩先いく」は、投資初心者からのステップアップに「資産運用を一歩先へ!」進めるインデックスファンドのシリーズで、GLOBAL X社が設定するエッジの利いたETFに100円から投資できる。「USテック・トップ20インデックス」、「NASDAQ-100 毎月カバコ戦略(QYLD)」、「グローバルイノベーション企業インデックス」、「華麗なるインド・トップ10+インデックス」などユニークな商品群で構成されている。
新設の「一歩先いく 防衛テック-日本株式インデックス」(税込実質信託報酬:年0.7315%以内)は、「グローバルX 防衛テック-日本株式ETF」に投資することで国内株式の防衛テック関連事業(サイバーセキュリティ、防衛テクノロジー、高度な軍事システムやハードウエア、防衛および国家安全保障関連の中核サプライヤー)に投資する「Mirae Asset Japan Defense Tech Index」に連動する成果をめざす。世界的な地政学リスクの高まりによって、日本国内の防衛予算は2023年以降に拡大が一層進んでおり、関連企業の株価も2024年以降にTOPIXを大きく上回るパフォーマンスになっている。
●SMT iPlus シリーズ
三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMT iPlus」は、インデックスファンドにプラスαの魅力を付加するシリーズとして2023年11月にスタートしている。プラスαの魅力の1つはインデックスを上回るリターンをめざすこと。そして、固定水準の信託報酬を低く抑え、パフォーマンスに応じた実績報酬型(年率ベースの超過リターンの33%、上限年率・税込1.1%)の報酬体系にしている。「SMT iPlus 米国株式」と「SMT iPlus 全世界株式」がある。
新設の「SMT iPlus 日本株式」は、「バリュー」「モメンタム」「クオリティ」「ディフェンシブ」の4つの戦略を活用し、「日経平均トータルリターン・インデックス」を上回る成果をめざすファンドだ。固定報酬(基本報酬)は税込年率0.055%であり、ここにベンチマークである「日経平均トータルリターン・インデックス」を上回った分に対する実績報酬を上乗せする。
伝統的インデックスとは一線を画す魅力
9月に新設されたインデックスファンドは、国内初の「韓国株インデックス」が登場するなど、非常にユニークな品ぞろえになっている。
インデックスファンドの人気拡大のきっかけは、旧NISAの1つである「つみたてNISA」がスタートした2018年1月にまで遡る。毎月一定額を長期にわたって積立投資することによって将来の年金を補完する資産を築こうという機運が高まり、長期の運用を前提として低コスト(販売手数料無料、かつ、運用時の信託報酬率を可能な限り引き下げた)をうたうファンドシリーズが整えられていった。今では、その代表的なシリーズである三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim」シリーズからは純資産総額が13兆円を超える「オルカン」、12兆円を超える「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など巨大ファンドが成長している。
つみたてNISAのスタートから8年以上が経過し、運用会社各社から提供されるファンドシリーズも充実したことで、「日経平均」や「S&P500」といった伝統的なインデックスに連動するファンドは出そろった。
現在新設されるファンドは、伝統的なインデックスを上回る投資成果が期待できるよう一工夫が施されたファンドだ。「一歩先いく 防衛テック-日本株式インデックス」のように特定の産業や技術に特化したテーマ型ファンド、あるいは、「Smart-i Pro」が提供する「米国リブート75インデックス」のように、構成銘柄の選定に工夫を凝らして既存インデックスを上回る成果をめざす「エンハンスト・インデックス」といわれるようなファンドも増えてきている。「SMT iPlus」も明確にインデックスを上回る成績をめざすファンドであるため、アクティブファンドといえる性格だが、ベンチマーク基準でプラスαを上乗せするという意味では「エンハンスト・インデックス」のくくりでも評価できる。
一般に低コストのインデックスファンドはネット販売が中心となり、設定額が1000億円を超えるような大規模なスタートはできない。ファンドのコンセプト、あるいは、運用成果を確認しながら、投資家自らが選ぶことによってコツコツと残高を積み上げていく成長を遂げる。9月の新設ファンドもそれぞれ静かに生まれているが、ここから何本が生き残り、さらに、数千億円、数兆円の巨大ファンドに育っていくものだろうか。今後を見守りたい。
※新規設定の情報は一般社団法人資産運用業協会の公開データに基づいています(2026/9/9 取得)
