投資信託の良しあしを見定めるのは難しい。相場つきが悪くて短期的には成績が振るわなくても、長期で見れば優れた運用を行っている投信は存在する。逆に、波に乗って一時的に好成績を収めたものの、トレンド転換と共に一気に沈んでいく投信も少なくない。本シリーズ「探せ! あなたの“推し”投信」では、長期投信投資家に人気の投資信託の強さの秘訣を探る。

今回取り上げるのは、野村アセットマネジメントが運用する「ノムラ・エマージング・オープン」だ。今年の4月21日設定で、当初設定額は1043億円。2026年に新規設定された公募投信の中で最大の設定額を記録した。純資産総額は8月17日時点で2052億円を超えている。なぜこれほど支持されているのか? 本稿ではその理由をひも解いていく。

新興国の有望分野に投資するファンド

新興国株式という広い看板を掲げながら、運用者の判断で有望と見た領域に思い切って資金を寄せる、選別色の強いアクティブファンドである点が本ファンドの最大の特徴だ。

分類は新興国株式ファンドで、ファンド・オブ・ファンズ方式を採用し、「ノムラ・ファンド・ソリューションズ-ノムラ・エマージング・マーケッツ・ファンド-クラスI3(円建て)」への投資を中心とする。投資対象ファンド側では新興国株式への投資割合を純資産総額の80%以上とし、ボトムアップアプローチによって「企業の競争力」「構造的な成長機会」「耐久力のある事業基盤」の3つの視点から持続可能な競争優位性を持つ企業を選び、その中で市場評価が実力からかい離した割安な銘柄に投資する方針を掲げる。

その結果として、2026年7月31日時点の国・地域別配分は韓国29.0%、台湾15.5%で計約4割強に達し、エマージングファンドとしては相対的に東アジアへの投資比率が高い。業種別では情報技術が35.6%を占める。組入上位10銘柄は台湾セミコンダクター(9.9%)、サムスン電子(9.4%)、SKハイニックス(7.1%)、SKスクエア(5.9%)、リライアンス・インダストリーズ(4.8%)、テンセント・ホールディングス(4.4%)、マイクロン・テクノロジー(3.6%)、サムスンC&T(3.6%)、ブラジル石油公社(2.7%)、アリババグループ・ホールディング(2.5%)。

投資対象ファンドの方針では、新興国から収益を得ている企業のうち、新興国市場での成長機会が業績に影響すると運用会社が判断した場合などに新興国以外の企業へ投資する場合があると示されており、新興国の企業だけで構成されるとは限らない点は、当ファンドの特徴といえる。

投資対象を新興国全体に薄く広げるのではなく、成長性の高い分野に着目するため、直近では半導体・メモリー関連を軸に据えた構成となっている。組入銘柄数は61銘柄(7月31日時点)。運用会社は今後の方針として、最先端の半導体製造を担う企業が市場の成長を取り込むうえで有利な位置にあるとの見方を示している。

NISAでは成長投資枠の対象となっている。