連載第1回目では、NISAのインデックス投資だけでは「資産クラスの分散」が不十分かもしれないというお話をしました。第2回目となる今回は「プロの投資家」たちの資産配分を正面からのぞいてみます。私たちの年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、なぜ株式を約50%にとどめるのか。ハーバード大学基金は、なぜ上場株式をわずか14%しか持たないのか。彼らのポートフォリオには、NISAの「隣」を考えるうえでのヒントが詰まっています。
あなたの年金、実は「株式約50%」で運用されています
私たちの年金を運用しているGPIF。2026年3月末時点での運用資産は約294兆円(出所:年金積立金管理運用独立行政法人「2025年度業務概況書」)で、世界最大規模の機関投資家として知られています。
この巨大なお金の配分先は、驚くほどシンプルです。国内株式、外国株式、国内債券、外国債券と、きれいな4等分。株式が全体の約50%、残りを債券が占める構成です。
NISAで全世界株式や米国株式のインデックス投信を積み立てている方は、知らず知らずのうちに「株式100%」のポートフォリオになりがちです。何百社に分散されているとはいえ、資産クラスとしては株式一本です。
対して、約294兆円を運用するGPIFが株式に振り向けているのは約50%。なぜプロは、残りの半分を株式以外の資産に振り向けるのか。ここに、「分散」の本質が凝縮されています。
GPIFの目標は、名目賃金上昇率プラス1.9%のリターンを最低限のリスクで確保することです(出所:年金積立金管理運用独立行政法人「第5期中期目標期間における基本ポートフォリオについて~詳細~」)。直近の名目賃金上昇率は前年比プラス3%前後で推移しており(出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年1〜3月)、これに1.9%を加えると、求められるリターンはおよそ5%になります。
たしかに、この5%を狙うだけなら株式100%で長期運用をすれば期待リターンは高まるかもしれません。しかし株式市場は、企業の実力等とは無関係に急落することがあります。年金の運用では、そうした局面でも給付を止められません。だからこそGPIFは、リターンの最大化よりも「下がりすぎない設計」を優先しているのです。
