株式と債券の「50対50」では足りない?

GPIFの基本ポートフォリオは株式と債券の半々。長らくこの組み合わせは分散投資の基本形とされてきました。しかし2022年、世界的なインフレと利上げを背景に、株式と債券が同時に下落するという事態が起きています。「株が下がれば債券が支える」という前提が、常に成り立つわけではないということが現実になっているのです。

こうした限界を補うために注目されているのが、株式や債券とは異なる値動きをする資産を組み合わせるという発想です。GPIFもこの枠組みの中で動きを進めています。

それが、前回も触れたオルタナティブ資産への投資です。オルタナティブ資産とは株式や債券といった伝統的な投資対象以外の資産のこと。不動産やインフラ、プライベートエクイティなどがその一例です。GPIFは第5期中期計画(2025〜2029年度)で、これらの資産を全体の5%を上限に組み入れる方針を掲げています。

株式や債券とは値動きのメカニズムが異なる資産を加えることで、ポートフォリオ全体の効率性を高める—、前回お話しした「価格の決まり方が根本的に違う資産を組み合わせる」という考え方そのものです。

2026年3月末時点の投資額は約5.2兆円で、5%枠の金額ベースでは約15兆円ですから、まだ3割半ばにとどまっています(出所:年金積立金管理運用独立行政法人「2025年度 業務概況書」)。世界最大級の年金基金がこの方向に舵を切り、なお拡大の途上にあるという事実は、覚えておいて損はないと思います。