投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、常陽銀行。
常陽銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2026年7月のトップは前月同様に「日経225ノーロードオープン」だった。第2位には前月第10位だった「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」がジャンプアップし、第3位には前月第7位の「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)(愛称:ネクスト・ジェネレーション)」が上がった。前月第2位だった「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」は第4位に後退し、「のむラップ・ファンド(積極型)」も第5位に後退。トップ10圏外から第9位に「インデックスファンド225」、第10位に「WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)」がランクインした。一方、前月は第9位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」はトップ10圏外に落ちた。
※常陽銀行サイトの投資信託ランキング一覧から「販売件数ランキング」の「2026年7月」のデータに基づいて編集部作成。
https://www.joyobank.co.jp/personal/invest/toshin/ranking.html
下落するほど人気が高まる「日経225」
常陽銀行の投信売れ筋(販売件数)ランキングのトップ10に2本の日経平均株価(日経225)連動型のインデックスファンドがランクインした。1本はトップに君臨する「日経225ノーロードオープン」(設定はアセットマネジメントOne)。そして、7月に第9位にランクインした「インデックスファンド225」(アモーヴァ・アセットマネジメント)だ。同じ国内株インデックス「日経225」に連動するインデックスファンドが同時にランクインすることは珍しい。直近では2025年4月以来、1年3カ月ぶりのことになる。
2025年4月は、2025年1月から3月まで3カ月連続で「日経225」が下落し、4月に下げ止まったタイミングだった。今回は2026年7月の1カ月間で「日経225」が8.14%下落するという大きな下落局面だった。2020年3月のコロナショック以降、国内の投資家の間でも「株価は値上がりするもの」という感覚が根付き、そのため、「下落局面」は「投資の好機」ととらえられるのだろう。これは1991年以降のバブル崩壊による「失われた30年」を経験してきた世代とは大きく異なる感覚だ。下落率が大きくなるほどに積極的にインデックスファンドで買い向かうという動きが、近年の投資家の特徴になりつつある。
そもそも「日経225ノーロードオープン」は、常陽銀行の売れ筋で常にトップ近辺に位置する人気ファンドだ。今回も2026年5月から3カ月連続のトップになっている。現在の市場は、米国とイランの間の交渉が難航し、世界の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全航行が阻害されていることで原油価格が高止まりするという悩ましい状況にある。原油価格の上昇が世界的なインフレ懸念につながり、金利上昇(債券安)、株安の引き金になるリスクがあって先行きは不透明だ。「日経225」も8月になって6万3000円台で始まり、8月17日には6万9000円台に値上がりしたものの、再び6万5000円台に下落する動きになった。この上下動の大きな動きが「日経225ノーロードオープン」の人気にどのように影響するものなのか、今後の行方を見守りたい。
「フィジカルAI」に着目のファンドが2位に急上昇
ランキングの第2位に上がった「グローバル・ロボティクス株式ファンド」は、世界各国の株式の中からロボティクス関連企業の株式に投資を行うファンドだが、近年ではロボットにAI機能を搭載することで実現する「フィジカルAI」への進展が期待され、AI・半導体関連株人気の一角を占めるようになっている。同ファンドが設定された2015年8月当時は、日本で「ロボット新戦略」が策定され、感情を持つパーソナルロボットや人間と同じ空間で働くロボット技術が注目され、「IoT(モノのインターネット)」によってクラウドやAIを活用してロボットを知能化・連携させるシステムの開発が始まった頃だった。それが10年を経て、プログラム通りに動くところから踏み出してリアルな作業を自ら学んで遂行する「フィジカルAI」の開発が本格化している。投資テーマそのものが進化し、新しい成長機会を取り込んでより大きな成長が期待できるファンドになっている。
7月の人気化は、年2回決算型の決算月にあたり、1万口あたり1500円の分配金を払い出すタイミングを狙っての購入もあったのかもしれない。しかし、新しいテーマを取り込んで、中長期的にも楽しみな成長分野として発展している「ロボティクス」は今後も長らく注目されるテーマといえる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

