投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、みずほ銀行。
みずほ銀行の投信月間販売額ランキングの2026年7月のトップは前月同様に「One/ティー・ロウ・プライス インフレガード&オポチュニティ・ファンド(モデレートコース(標準))(愛称:IGO)」だった。第2位は前月第4位だった「キャピタル世界株式ファンド」、第3位は前月同様に「One/ティー・ロウ・プライス インフレガード&オポチュニティ・ファンド(オポチュニティコース(積極))(愛称:IGO)」だった。第4位に前月第8位だった「NWQグローバル厳選証券ファンド(為替ヘッジなし/隔月分配型)(愛称:選択の達人)」がジャンプアップし、第5位に前月第6位だった「キャピタル世界株式ファンド年2回決算(分配重視)」が上がった。また、トップ10圏外から「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA」が第9位に、「MHAM株式インデックスファンド225」が第10位にランクインした。
※みずほ銀行サイト内「投資信託ランキング」の「月間販売額ランキング」に基づき編集部作成。期間:2026年7月1日~7月31日。
https://www.mizuhobank.co.jp/fund/ranking/index.html
「株価波乱」「物価高」で注目されたのは…
みずほ銀行の投信販売額ランキングでトップにある「IGO(標準)」(設定はアセットマネジメントOne)は、国内株式、国内債券、世界株式(新興国含む)、世界債券、および、REIT(不動産投信)、リアルアセット関連資産(実物資産)、さらに、物価連動国債等に投資して「インフレ(物価上昇)」から資産を守りつつ、プラスアルファのリターンが狙うファンドだ。「モデレートコース(標準)」は日本のインフレ率を長期的に2%程度上回るリターン(リスクは年率9%程度)をめざす。2026年5月26日の設定から約3カ月が経過しようとしているところだが、設定来のパフォーマンスはほぼ横ばいだ。8月14日の基準価額は1万128円。国内のインフレ率は5月のCPI(消費者物価指数)が前年同月比プラス1.5%という水準で、このインフレ率にプラスアルファを狙う運用方針から1、2カ月程度の短期で結果が出るファンドではない。
むしろ、国内株式インデックスファンド「MHAM株式インデックスファンド225」(アセットマネジメントOne)が7月の月間でマイナス11.73%と大きく落ち込む中で、「IGO(標準)」はマイナス0.59%と株式市場の動きに左右されにくい動きになっていた。幅広い資産に分散投資して市場の変動に左右されることなく着実にインフレ率プラスアルファを獲得し続けることが同ファンドとしては評価できるポイントだ。インフレに負けない資産をしっかり保有し続けるという目的で投資したい。
また「IGO(積極)」は、インフレ率を長期的に3%程度上回るリターンをめざすファンドだ。8月14日の基準価額は1万184円になっている。「標準」よりもややリスクを取った運用をしているが、設定来のパフォーマンスは「標準」と同じように横ばいの動きになっている。長期的に安定的な運用成績を求める投資家にふさわしいファンドといえるだろう。「IGO(標準)」、「IGO(積極)」ともに設定来3カ月連続で売れ筋の上位にランクされるファンドになった。今後、みずほ銀行を代表するファンドとして定着する気配がある。
運用資産総額は約521兆円、「キャピタル社」のファンドが人気に
7月のランキングではキャピタル・インターナショナルが運用する株式アクティブファンドのランクアップが目立った。キャピタル社は1931年に米国ロサンゼルスで設立された独立系の資産運用会社で、創業来90年以上にわたって資産運用のみに特化したユニークな経営で知られる。グループ全体の運用資産総額は約521兆円(2025年12月末時点)で、米国籍アクティブファンドの運用資産残高(約478兆円)で最大だ。IRA(個人退職勘定)や401k(確定拠出年金)など長期の運用をめざす非課税制度からの資産が約6割を占めるという特徴がある。
7月のランキングで第2位に浮上した「キャピタル世界株式ファンド」はキャピタル社を代表するグローバル株式ファンド、そして、第8位に上がった「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA」はキャピタル社が創業した後、最初に設定された米国株ファンドで設定が1934年、90年以上にわたって運用されてきた運用戦略に投資するファンドだ。みずほ銀行ではキャピタル社の株式ファンドは長らく売れ筋上位にある「定番商品」として定着している。7月は国内株「日経225」が8%程度の下落となり、米「S&P500」もマイナスパフォーマンス、特に、これまで市場をけん引してきた半導体株やハイテク株が大きく下落するなど株式市場の状態が悪い1カ月だった。悪い時だからこそ、「基本のファンド」であるキャピタル社の運用する商品が改めて見直されるということになったと考えられる。
キャピタル社の運用する商品の中でも「米国株」に単独で投資するファンドより、世界各国の株式に分散投資する「キャピタル世界株式ファンド」が選好された。運用成績は、7月1カ月間で米国単独の「ICA」がマイナス2.06%、「キャピタル世界株式ファンド」がマイナス3.79%。2026年7月末時点で過去1年のリターンも「ICA」が22.94%、「キャピタル世界株式ファンド」は17.21%となっており、3年、5年の成績でも「ICA」の方が上回っている。ファンドの運用成績によらず、資産を分散することに意識が強いのは、投資家の心理として株式市場の先行きには慎重になっているということだろう。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

