資産運用の普及に伴い、全世界株式(オール・カントリー)をベンチマークとする投資信託が人気を集めています。その指標となる株価指数に採用されている個別株式に注目すれば、世界基準の厳しい選別を勝ち抜いた優良銘柄を効率よく見極めることが期待できます。本連載ではそんな株価指数の代表格であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)の組入銘柄である日本株に着目。特定の領域で卓越したシェアを誇るグローバルニッチトップ企業にフォーカスします。第5回目は半導体後工程材料で世界トップシェアを誇るレゾナック・ホールディングス。「共創型化学メーカー」という目標を掲げる同社の強みに迫り、AI時代の半導体市場において同社が持続的な高成長を遂げられるのか、その真価をひも解きます。
総合化学から「AI半導体材料企業」へ
「総合化学」と聞くと、石油化学や基礎素材を大量生産し、市況に業績を左右されるイメージを抱く人も多いだろう。しかし、レゾナック・ホールディングス(4004)は、その姿から大きく変わりつつある。
同社は旧昭和電工が2020年に旧日立化成を買収し、2023年に両社統合し発足。その狙いは、旧昭和電工の素材技術と旧日立化成の材料設計・顧客接点を融合し、低収益・市況型事業中心の総合化学メーカーから高付加価値を追求する機能性化学メーカーへの転換にある。
変革の中心となるのが、生成AIの普及で需要が急拡大する半導体後工程・先端パッケージ材料だ。2025年の全社売上収益1兆3,471億円、コア営業利益1,091億円に対し、半導体・電子材料だけで売上収益5,063億円、コア営業利益1,084億円を稼いだ。売上構成比は約38%ながら、全社利益のほぼ全てを生み出すまでになっている。
同社が定めるコア営業利益とは、営業利益から非経常的な要因によって発生した損益を除いて算出する本業の収益力を測るための経営指標。まさに戦略上だけでなく、業績面でも同事業が全社の成長を牽引していることがこの数値で明確に示されている。
