投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。

SBI証券の投信販売金額人気ランキング(週間)の2026年9月第3週(9月14日~9月18日)のトップ2は前週と変わらず、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だった。第3位には前週第7位から「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)がジャンプアップした。また、第6位には前週第9位だった「SBI NASDAQ100インデックス・ファンド」が上がり、トップ10圏外から「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第8位にランクインした。一方、前週第5位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」は第10位に後退し、前週第10位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」はトップ10から落ちた。

※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/9/14~2026/9/18。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&file=index.html&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price

「S&P500」より好成績の「日経225」「TOPIX」が弱い理由

日米の中央銀行が金融政策決定会合を開催した9月第3週は、金融政策の発表を待って全般様子見の展開になった。9月16日には米FOMCが約3年ぶりとなる0.25%の利上げを決定し、政策金利を3.75~4.00%にすると発表した。利上げ後の記者会見でFRBのウォーシュ議長がインフレ高止まりへの警戒感を強調したことで年内の再利上げという見通しが強まった。ウォーシュ議長については、議長就任にあたって「トランプ大統領の操り人形」という見方もあっただけに、今回の決定においてトランプ大統領が強硬に利下げを求めたにもかかわらず、物価上昇という客観的な事実に基づいて利上げを決定したことで、ウォーシュ議長に対する市場の信認が高まったといわれている。

一方、日銀は18日に政策金利を1.0%程度から1.25%程度に引き上げると決めた。1.25%という水準は1995年以来31年ぶりの高水準になる。日銀は2024年3月にマイナス0.1%程度だった政策金利を解除し、その後、2年半で6回の利上げを実施したことになる。ただ、これまでは6カ月以上の期間を経て0.25%の利上げを行ってきたが、今回は2026年6月の利上げから3カ月で利上げを実施したことになる。この背景の1つに米国のベッセント財務長官が日本円を支えるために利上げを行うように圧力を強めたことが背景にあるのではないかという見方がある。中央銀行の独立性が評価された米FRBと、米国の意向に従ったかのように見えた日銀の対応の差なのか、ドル円は18日の日銀利上げ後に1ドル=157円台の円安方向に動くことになった。

日本の市場に対する信認が弱い理由は、円安だけではない。「SBI 日本株4.3ブル」(設定はSBIアセットマネジメント)、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」(三菱UFJアセットマネジメント)、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」(三菱UFJアセット)など国内株ファンドが一斉にランクを落としている。9月第3週には国内株価指数は、TOPIXが1.56%高、日経平均株価が1.57%高と上昇し、米「S&P500」の0.08%安などより、よほどしっかりしていた。株価が高いにもかかわらず市場の人気が衰えてしまうのは、「利益確定の売り」が出やすいということで、中長期的な市場成長への確信度が低いということだろう。

「AI開発減速」の流れは続いていくのか?

また、9月14日の週で話題になったのは、米アンソロピックのダリオ・アモディCEOが9月12日にAI業界が協調してAI開発ペースを減速させるよう呼びかけたことに対し、オープンAIのサム・アルトマンCEO、また、イーロン・マスク氏ら米国でAI関連事業をけん引している経営者が相次いで賛同したことだ。AI業界のトップリーダーが、AIが人類の存亡にかかわる脅威になると警告することは珍しくないが、今回のアモディ氏の呼びかけの後で、AIエージェント(一定程度自律的に動作するAIシステム)が予期しない行動をとった事例が相次いで公表されたこともあり、「AI開発スピードの減速」への賛同が広がっている。株式市場にとっては、莫大(ばくだい)なAI投資計画が株価を上昇させる大きな推進力になっていただけに、投資計画を見直すような動きにつながることになった場合、市場の先行きを不透明にする要因になりかねない。

実際に、SBI証券の売れ筋の変化では、AI関連企業に集中して投資している「iFreeNEXT FANG+インデックス」(設定は大和アセットマネジメント)が大幅に順位を落とし、AI関連以外への投資をしっかり行っている「世界のベスト」(インベスコ・アセット・マネジメント)や「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(朝日ライフ アセットマネジメント)が大きく順位を上げているところに、市場の反応が表れているようだ。この動きが、どこまで広がるか、定着する動きになるのか注意深く行方を見守りたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩