AI需要と事業ポートフォリオ改革に注目のワケ 

まず確認したいのが、半導体・電子材料の成長だ。2025年12月期は同セグメントの売上収益が前年比13.7%増、コア営業利益が47.0%増となった。さらに2026年1~3月期には、後工程材料売上が前年同期の513億円から709億円へ増加している。

同社はその要因として、AIを含む先端半導体向け販売数量の増加を挙げている。つまり半導体材料を成長事業と位置付けているだけでなく、足元の業績でもAI向け後工程材料が成長を牽引していることが確認できる。また、AI向け絶縁接着フィルム(NCF)と放熱シート(TIM)について、生産能力を従来比3.5~5倍に引き上げるために約150億円の設備投資を決定している。

財務面では、半導体材料への集中が本当に企業価値向上につながっているかが焦点となる。投資を検討する際には、収益性を示すEBITDAマージン、資本効率を示すROIC、日立化成買収後の財務健全性を示すネットD/Eレシオ、成長投資後のキャッシュ創出力を示すフリーキャッシュフロー(FCF)を継続的に追っていくことが重要となる。

なお、2025年12月期には半導体・電子材料のEBITDAマージンが30.2%と目標の30%以上に到達した一方、全社ROICは6.2%と、同じく目標とする10%にはなお距離があり、資本効率の改善余地が残る。

もう一つの大きな転換点が、2026年10月1日に予定される石油化学事業を担うクラサスケミカルのパーシャル・スピンオフ※である。2025年12月期のクラサスは全社売上の約22%を占める一方、コア営業利益への寄与は約4%にとどまった。

レゾナックによる2026年予想では、クラサスを除いた場合のEBITDAマージンは全社ベースの17.9%から21.6%へ上昇する。したがって今回の分離は、市況型・低収益事業を切り離し、半導体を中心とする高付加価値事業へポートフォリオを集中する施策と捉えられる。ただし、スピンオフ自体が直接利益を生むわけではなく、分離後にROICやキャッシュ創出力が実際に改善するかを確認する必要がある。

※パーシャル・スピンオフ…企業が子会社を分離・独立させる際、親会社が株式の一部を手元に残し、株主にその一部を配分する手法

一方で、半導体への利益集中は最大のリスクともなりえる。AI設備投資の減速、先端パッケージ技術の世代交代、サプライチェーンや地政学、サイバーリスクなどによって半導体材料需要が想定を下回れば、全社利益への影響も大きくなる。なお、レゾナックではCEOを議長とするリスクマネジメント委員会を設置し、重要リスクを優先順位付けして管理している。

株式面については、時価総額は約2兆6,561億円(2026年9月18日時点)。流動性を見ると、発行済株式数に対する1日の売買高の割合は約1.0%となり、高い流動性を持つ。また、外国法人等(個人以外)の保有比率は38.43%であり、海外投資家の保有も相応の規模にある(2025年12月末時点)。