投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、千葉銀行。

千葉銀行の2026年8月の店頭販売件数ランキングのトップは、前月に続き「分散名人」が入り、第3位には前月の第9位から「世界経済インデックスファンド」がジャンプアップした。投資家が不確実性の高い市場環境の中で“分散による安心感”を重視している姿勢がうかがえた。また、第2位には前月8位「日本株好配当ファンド(愛称:配当名人)」が急上昇し、第9位にはトップ10圏外から「グローバル株式ファンド(愛称:The GDP)」がランクインするなど、株式ファンドでもリスク管理を重視するファンドのランクが上がった。一方、前月第2位だった「日経平均インデックスファンド」は第10位に後退した。

※千葉銀行サイトのファンド・基準価額一覧のランキング「店頭月間販売件数」に基づいて編集部作成。2026年8月末基準。
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「日経平均」のリターンより「分散」の安心感を優先?

ランキングでトップの「分散名人」(設定はちばぎんアセットマネジメント)は、国内外の株式・債券・REITに金(為替ヘッジあり)を7分の1ずつ均等配分するファンドだ。特定の市場環境に依存しない安定的な値動きをめざす。2026年8月末時点のリターンは、1年で17.18%、3年で40.86% と、いずれも堅調なプラスを維持している。また、第3位に上がった「世界経済インデックスファンド」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)は、株式と債券に均等投資し、株式と債券の地域別(日本、先進国、新興国)のGDP(国内総生産)総額の比率を参考に組み入れ比率を決定する。8月末時点のリターンは1年で23.90%、3年で54.90%という成績だった。

同じく千葉銀行のランキングに入っている「日経平均インデックスファンド」(ちばぎんアセットマネジメント)と同じ日経平均株価連動型のインデックスファンドは、リターンが1年で約58%、3年で約114% と、株式単独の指数として非常に高いリターンを示している。しかし、こうした高いパフォーマンスにもかかわらず、ランキングでは前月の第2位から10位に落ちた。これは、8月時点で中東紛争が長引くことで原油価格が1バレル=80ドル台に高止まりし、国内長期金利が約30年ぶりの水準である3%台に迫るなど、投資家が“株式一本で勝負することへのリスク”を強く意識していることを示しているのではないだろうか(9月には国内長期金利は3%台に乗せ、原油価格は100ドルを超えた)。高いリターンよりも、資産を株式だけではなく債券にも分散することで「大きく負けない」という安心感が優先された結果、「分散名人」が首位を維持したと考えられる。

8月のランキングでは、トップ10圏外から「インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)」(アモーヴァ・アセットマネジメント)が第6位にランクインするなど株式ファンドのランクアップも見られたが、一方で、「フィデリティ・ストラテジック・インカム・ファンド(資産成長型)Dコース(為替ヘッジなし)(愛称:悠々債券)」(フィデリティ投信)が第8位にランクインするなど、リターンでは1年で12.04%、3年で29.36%と見劣りする債券ファンドの評価が高まっている。投資リスクを抑えて安定を求めるという意識が強まっていることが感じられる。

高配当株の“確定収入”が投資家の心をつかむ

ランキング第2位に急浮上した「配当名人」(ちばぎんアセットマネジメント)は、平均配当利回りが市場平均を上回るようにポートフォリオを構築し、配当収益の確保と中長期的な値上がり益の獲得をめざすファンドだ。2026年8月末時点の組入銘柄数は133銘柄で平均予想配当利回りは2.8%になっている。同時点の日経平均株価の予想配当利回り(単純平均)の1.7%程度より高い水準にある。しかも、組入上位にはメガバンク3行が入るなど、金利上昇で恩恵を受ける「銀行業」の組入比率が14.9%と非常に高い(8月末時点の日経平均のセクター別ウエートでは「金融」は3.03%)。2026年8月末時点のリターンは、1年で47.89%、3年で114.58% と、日経平均連動型インデックスファンドに匹敵する高い成績を示している。

高配当株は、株価の上昇を待つよりも、確実に配当を受け取れる点が魅力だ。国内金利上昇によって企業の業績への不安が意識される中、投資家は「株価の上昇を待つより、確実に配当を受け取れる銘柄を選びたい」という心理が働いた可能性が高い。「配当名人」の急浮上は、投資家が“攻めるより守る”姿勢を強めていることを示す象徴的な動きにみえる。

市場環境が大きく変わる中で、投資家は“リスクを取りすぎない”という判断をしているようだ。その結果、分散型の安定感と高配当株の確実性が同時に評価されるという、非常に合理的な選択がランキングに表れた。千葉銀行の投資家は、8月のランキングで見えた「大きく勝つより、確実に負けない」という姿勢を今後も維持するのかどうか。市場の変化とともにランキングの動きを注意深く見ていきたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩