投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、広島銀行。
広島銀行の投信売れ筋ランキング(窓口販売件数)の2026年8月は、前月に続いて「世界経済インデックスファンド」がトップを維持した。同ファンドは2026年5月から4カ月連続でトップを占めており、安定した人気が続いている。第2位には「インベスコ 世界厳選株式オープン(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が入り、前月第4位だった「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)」が第3位に浮上した。大きくランクアップしたのは第5位の「次世代米国代表株ファンド(愛称:メジャー・リーダー)」で、前月第9位から順位を4つ上げた。一方、前月第3位だった「インデックスファンド225」は第7位に下がり、前月トップ10圏外だった「インベスコ 世界厳選株式オープン(年1回決算型)」が第9位に新規ランクインした。また、金価格の下落で人気が低迷して前月はトップ10から落ちていた「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第10位に戻ってきたことも目を引く。

※広島銀行サイトのファンドランキング、「販売件数(窓口)」に基づいて編集部作成。期間は2026年8月1日~8月31日。
https://www.wam.abic.co.jp/contents/C130169/wam3/1/pc/fundrnk.html?_com_id_product=1&_com_id_company=C130169&date=202609182246&date=202609182246&_biz_id_ranking=01&_biz_rankingseq=1&_com_id_screen=91505001&_com_id_session=02202609180435842605
「S&P500」より「NYダウ」?
今回のランキングで最も象徴的だったのは、米国株ファンドの順位変動だ。「メジャー・リーダー」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)が前月第9位から第5位へと大きくランクアップし、第6位に浮上した「インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)」(アモーヴァ・アセットマネジメント)を上回った点は注目される。
「メジャー・リーダー」はNYダウ工業株30種平均を参照し、次世代の産業界のリーダーになり得る約30銘柄に投資するファンドだ。業種分散を重視しており、情報技術だけでなく、資本財・金融・消費関連など幅広いセクターを組み入れている。一方、「S&P500」は情報技術やコミュニケーション・サービスなど、テクノロジー株の比率が高い指数である。
2026年の市場環境を振り返ると、米国とイランの戦闘再開による原油価格の急騰、米10年国債利回りの5%台乗せなど、インフレ再燃懸念が強まった。株式市場は上昇一服となり、投資家は「マグニフィセント・セブン(M7)に代表される高成長テクノロジー株への過度な集中」に対する警戒感を持つようになり、「M7」を避ける傾向が強まっている。こうした環境下では、テクノロジー偏重の「S&P500」より、業種分散された「メジャー・リーダー」の方が安心感があるという心理が働いた可能性がある。
さらに、2026年は半導体関連銘柄が市場をけん引した一方で、M7などの大型テクノロジー株の上昇率が鈍化した。また、「M7」以外の大型バリュー株(バークシャー・ハサウェイ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラなど)の上昇が目立った。投資家は「M7依存の相場が終わりつつある」と感じ始めており、より分散された米国株ファンドへの関心が高まっている。こうした市場環境の変化を背景に、米国株ファンドの選好が「S&P500」から「メジャー・リーダー」へと移りつつあるのではないのだろうか。
盤石のバランス型ファンド人気
トップの「世界経済インデックスファンド」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)は、2026年5月から4カ月連続でトップを維持している。さらにさかのぼると、2026年4月までは金を組み入れたバランスファンドの「ポラリス」(ピクテ・ジャパン)がトップだった。「ポラリス」は2025年4月まで11カ月連続でトップを維持しており、広島銀行では長期にわたって“安定的なパフォーマンスが期待される分散型バランスファンド”が選好されてきたことがわかる。
「世界経済インデックスファンド」は、株式と債券に半々で投資し、国内・先進国・新興国の配分をGDP比率に応じて年1回見直すというシンプルな構造のファンドだ。市場環境が不安定な局面では、こうした安定的な分散型ファンドが選ばれやすい。2026年8月は、原油価格の急騰、米金利の上昇、インフレ再燃懸念など、投資家にとって不安材料が多い月だった。「世界経済インデックスファンド」や「りそなラップ型ファンド(成長型)」(りそなアセットマネジメント)などへの人気は、株式市場が上昇一服となり、リスク資産への過度な集中を避ける心理が働いたと考えられる。
また、第3位に浮上した「ポラリス」は株式・債券に加え金(ゴールド)にも積極的に投資するファンドだ。2026年1月下旬に金価格(WTI原油先物)が5355ドルの高値をつけた後、6月〜7月にかけて4000ドル割れまで下落したことで人気が一時的に低下した。しかし、金価格の急落が一巡し、再び分散投資の一角として評価され始めた可能性がある。今後、ゴールドの再評価が一段と進むのかにも注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
