投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。

SBI証券の投信販売金額人気(週間)の2026年10月第2週(10月5日~10月9日)のトップ2は前週と変わらず、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だった。第3位には前週第4位から「SBI 日本株4.3ブル」が上がり、前週第3位だった「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は第4位に後退した。第5位には前週第7位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」が浮上し、第6位には前週第8位だった「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が上がった。また、トップ10圏外から「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第10位にランクインした。一方、前週第5位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)は第8位にまで落ち、「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」はトップ10圏外になった。

 

※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/10/5~2026/10/9。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&file=index.html&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price

アクティブファンドが下落し「FANG+」が浮上

主要国の長期債利回りが歴史的な高金利水準で高止まりした10月第2週は、崩れるかとも考えられた株式市場やコモディティ市場が思いのほか底堅く推移した。

米10年債利回りは週前半に5.30%~5.35%、30年債利回りは一時5.73%近辺という2002年以来、24年ぶりの高水準となった。原油高によるインフレ高止まり懸念がある一方でISM非製造業景況指数は堅調を維持していることで高金利状態の長期化という見方が強まっている。トランプ政権の政府支出拡大による財政赤字の拡大懸念も長期金利を上昇させる要因になっている。

一方、金利上昇は株価評価(バリュエーション)を引き下げる要因となるため、特に、高PER銘柄には逆風となるところだが、株価は比較的堅調だった。国内の日経平均株価は週初に7万円の大台を回復し、大きく崩れることなく週末を迎え、米「S&P500」や「NASDAQ総合」も底堅く推移した。これら日米株価を下支えしているのは、これから決算発表が本格化するAI・半導体関連銘柄に対する好業績期待があると推察される。

売れ筋ランキングで「オルカン」、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(両ファンドともに設定は三菱UFJアセットマネジメント)がトップ2を維持しているのは、「マグニフィセント・セブン(M7)」といわれる大型テック株の活躍が続くと期待してのものといえ、順位を大きく上げた「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセットマネジメント)は大型テック株に特化したファンドといえる。「世界のベスト」(インベスコ・アセット・マネジメント)や「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(朝日ライフ アセットマネジメント)が順位を落としていることからは、大型テック株の中からより良い銘柄を選別投資するといった知恵を使うより、単純に大型テック株を時価総額の大きいものから保有しておいて間違いないというような「基本に帰れ」という投資家の声が聞こえてくるようだ。

ただ、来週は10月15日に台湾の半導体委託製造大手であるTSMCが決算発表を行い、10月28日にはアルファベット、マイクロソフト、29日にはアップル、アマゾンといった米国メガテックの決算。同じく10月28日には国内のアドバイテンスト、30日には東京エレクトロン、レーザーテックの決算発表が控えている。それぞれの決算内容や今後の見通しについて、どのような内容になるのか注目される。

市場の評価は明らかに、これまでの「インフラ投資拡大」への注目から、AIが実際にクラウド事業やソフトウエアの売上・利益成長に貢献しているのかを見極めようとするようになっている。その点では、「世界のベスト」や「WCM」などアクティブファンドによる銘柄選定能力が問われる環境になりつつある。決算の内容を受けて、売れ筋にどのような変化が表れるのか注目したい。

中東紛争は新局面に発展か? 買われるのはどの資産?

トップ10圏外に落ちていた「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」(SBIアセットマネジメント)が第10位にランクインしたのは、中東での紛争拡大など地政学リスクが高まっていることへのリスクヘッジの必要性からと考えられる。「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」の基準価額は、足元では8月25日を戻り高値として下落局面にある。世界的に金利が高止まりする現状は、「金利を生まないゴールド」には逆風でもある。それでも「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」がランクアップしたのは、株式市場の下落等、証券市場の不安定化に備える「ヘッジ」の役割が期待されてのことだろう。

実際に、10月になってサウジアラビアとイエメンのフーシ派との間での紛争が激化。ペルシャ湾の出口にあたるホルムズ海峡とともに、紅海の出口に位置するバブ・エル・マンデブ海峡まで閉鎖の危機を迎えている。現状では同海峡を支配下に置いたと主張するフーシ派は、サウジアラビア関連船舶以外の船は航行ができるとしているが、今後の対応は不透明だ。バブ・エル・マンデブ海峡まで閉鎖されるようなことになれば、原油価格が一段と高騰するのは避けられない。原油価格高騰がインフレ高進につながれば、コモディティとしてのゴールド価格が再び高値に進む可能性もある。にわかにランキングを上げた「ゴールドファンド」が今後、どこまで存在感を高めるのか注目したい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩