投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。

SBI証券の投信販売金額人気ランキング(週間)の2026年10月第4週(10月19日~23日)のトップは、前週に続いて「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)だった。第2位の「SBI 日本株4.3ブル」、第3位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、第4位の「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」まで順位に変化はなかった。第5位には前週第6位の「楽天日本株4.3倍ブル」が上昇し、前週第5位の「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は第6位に後退した。また、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第8位から第7位に上がる一方、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は第7位から第8位に下がった。国内株ファンドが順位を上げ、米国株ファンドが順位を下げるという対照的な動きが目立った。

※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/10/19~2026/10/23。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&file=index.html&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price

日経平均が2週連続急落、それでも「4.3倍ブル」が人気

10月第4週のランキングで特徴的なのは、国内株ファンドへの積極的な投資姿勢だ。「SBI 日本株4.3ブル」(設定はSBIアセットマネジメント)が第2位を維持したほか、「楽天日本株4.3倍ブル」(楽天投信投資顧問)が第5位に上昇した。さらに、日経平均株価やTOPIXに連動するインデックスファンドも上位に入っている。

しかし、国内株式市場は厳しい状況にある。日経平均株価は10月第3週(10月12日~16日)に5.37%下落し、第4週も4.03%下落した。TOPIXも第3週に0.95%、第4週に2.46%下落している。2週間を通じて国内株式市場は大きく値下がりした。

とりわけ「SBI 日本株4.3ブル」の下落は激しい。同ファンドの基準価額は第3週に24.15%下落し、第4週も16.54%下落した。2週間を通算すると約36.7%の下落になる。それにもかかわらず、販売金額ランキングでは第2位を維持している。

この動きからは、株価の大幅下落を投資の好機と捉え、積極的に買い向かう投資家の姿が浮かび上がる。特に「4.3倍ブル」は、国内株式市場の値動きに対して大きな投資成果を狙う商品だ。短期間での株価反発を期待する投資家の需要が、販売金額ランキングの上位を支えている可能性がある。

また、日経平均株価は値がさの半導体関連株などの影響を受けやすいという特徴がある。10月第3週には米国の半導体株指数であるSOX指数が11.41%下落し、第4週も3.21%下落した。米国のAI・半導体関連株の調整が続けば、日本の半導体製造装置関連株などにも売り圧力が波及し、日経平均株価が一段と下落する可能性がある。

日本株の値下がりを買い場とみる姿勢は鮮明だが、短期的な反発を狙う投資には相応のリスクが伴う。特にレバレッジ型ファンドの人気が、今後の相場変動によってどのように変わるか注目される。

米国ハイテク株に広がる警戒感、AI投資の収益性に疑問

一方、米国株ファンドでは人気にやや陰りが見られる。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセットマネジメント)は第3位を維持したものの、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」(SBIアセット)は第5位から第6位へ、「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセトマネジメント)は第7位から第8位へ順位を下げた。

背景には、AI関連企業への巨額投資が、将来の利益成長に結びつくのかという疑問が強まっていることが考えられる。10月第3週には、中国の半導体メーカーCXMTによるメモリー技術の開発進展が伝えられ、米マイクロン・テクノロジーなど半導体関連株が下落した。また、AI関連企業の過剰投資懸念やメモリー半導体の供給過剰感から、ハイテク株を売って割安株に乗り換える動きも広がった。

第4週には一時的にハイテク株への資金回帰が見られたものの、22日にはAI投資に対する警戒感が再燃した。好決算を発表したメタ・プラットフォームズも、AI投資の拡大見通しが嫌気されて6.98%下落した。市場の関心は、AI関連投資の規模がどこまで拡大するかという期待から、その投資がどの程度の収益を生み出すのかという実績の検証に移りつつあるようだ。

さらに、地政学リスクも不安材料だ。10月23日には米国とイランの衝突再燃への懸念から、WTI原油先物価格が1バレル100ドルを超えた。原油先物価格は第3週に10.41%上昇し、第4週も1.83%上昇した。原油高がインフレ圧力を強めれば、米国の金融引き締めが長期化し、ハイテク株の株価評価をさらに圧迫する可能性がある。

もっとも、「オルカン」(三菱UFJアセット)は第1位、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第3位を維持しており、米国株への投資意欲が大きく後退したとはいえない。今回のランキングからは、米国株への中長期投資を継続する一方、短期的には大幅に値下がりした日本株の反発を狙う投資家の姿がうかがえる。

ただ、日経平均株価も米国のAI・半導体関連株の動向に影響されやすい。日本株への投資を増やすことが、必ずしも米国株の調整リスクを回避することにはならない。今後、AI関連企業の決算や設備投資計画が市場の期待に応えられるかどうかが、日米両国の株式市場を左右する重要な材料になりそうだ。

執筆/ライター・記者 徳永 浩