投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、投資家の関心の変化を追う連載。今回は、福岡銀行。

福岡銀行の売れ筋(店頭販売件数ランキング)の2026年9月のトップは、前月に続いて「三井住友・配当フォーカスオープン」だった。前月第5位の「One 国内株オープン(愛称:自由演技)」が第2位に上昇し、前月第3位の「netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(H無)」は第3位を維持した。第4位には前月第7位の「グローバル・ベスト・ファンド」が上昇し、第5位には前月第6位の「ストックインデックスファンド225」が入った。一方、前月第2位の「世界半導体関連フォーカスファンド」は第7位に、前月第4位の「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は第6位に、それぞれ順位を下げた。また、「ノムラ・ジャパン・オープン」がランキング圏外から第8位に浮上した。国内株ファンドが上位に並ぶ一方、外国株ファンドでは半導体関連の順位が低下し、テクノロジー株やグローバル株に投資するファンドの動きが分かれた。

※福岡銀行サイトのファンドランキング「店頭販売件数ランキング」に基づき作成。評価日は2026年9月末。
https://awc.wealthadvisor.jp/webasp/fukuokabank/

「配当」含め国内株ファンドの人気が広がる

福岡銀行の2026年9月の売れ筋ランキングでは、トップの「三井住友・配当フォーカスオープン」(設定は三井住友DSアセットマネジメント)に加え、「One 国内株オープン」(アセットマネジメントOne)が第2位、「ストックインデックスファンド225」(大和アセットマネジメント)が第5位、「ノムラ・ジャパン・オープン」(野村アセットマネジメント)が第8位に入った。トップ10のうち4本が国内株ファンドとなり、国内株式への投資に関心が集まっている様子がうかがえる。

9月の国内株式市場は、指数によって明暗が分かれた。「TOPIX(東証株価指数)」は月間で1.15%下落した一方、「日経平均株価(日経225)」は0.67%上昇した。国内株式市場全体が一様に上昇したわけではないことに留意したい。

個別ファンドの9月の騰落率を見ると、「三井住友・配当フォーカスオープン」はマイナス0.77%、「One 国内株オープン」はマイナス0.90%、「ノムラ・ジャパン・オープン」はマイナス0.99%だった。いずれも月間ではマイナスリターンだったにもかかわらず、販売件数ランキングでは上位に入るか、順位を上げている。当月の値上がりを見て買うという行動だけでは説明しにくい動きだ。

背景として考えられるのは、国内株式の中長期的な運用実績に対する評価だ。「One 国内株オープン」のトータルリターンは9月末時点で過去1年間が34.10%、3年間が89.43%、5年間が122.53%、10年間が360.85%。「ノムラ・ジャパン・オープン」は過去1年間が48.56%、3年間が138.79%、5年間が176.34%、10年間が397.58%となっている。直近1カ月の値動きとは異なり、中長期では高いリターンを上げてきた実績がある。「日経225」に連動する「ストックインデックスファンド225」は、1年50.00%、3年117.12%、5年142.40%、10年364.97%という成績だった。「ノムラ・ジャパン・オープン」がインデックスファンドを上回る実績を残していることが確認できるが、「三井住友・配当フォーカスオープン」は、1年28.22%、3年85.74%、5年148.64%。10年320.73%という成績で、3年までの運用実績では「日経225」とはかなり見劣りする。それでも売れ筋トップにあるのは、運用成績だけではない魅力を投資家が感じているためだろう。

「三井住友・配当フォーカスオープン」は、配当性向や予想配当利回りに着目する運用で、9月末時点のポートフォリオの予想配当利回りは3.6%と、TOPIXの2.2%を上回っていた。組入上位業種には銀行、卸売業、建設業が並ぶ。一方、「ストックインデックスファンド225」は日経平均株価への連動を目指すインデックス型であり、「One 国内株オープン」は市場環境に応じて成長株と割安株の双方に投資する運用方針を持つ。

こうした異なるタイプの国内株ファンドが同時に上位に入っていることは、投資家の関心が特定の運用スタイルだけに集中していない可能性を示している。配当収入を重視する投資家もいれば、国内株式市場全体の値上がりを期待する投資家、銘柄選択による運用成果を求める投資家もいると考えられる。

さらに、9月は日本の新発10年国債利回りが一時3.015%まで上昇し、日銀も政策金利を1.25%に引き上げた。金利上昇は株式市場の評価に影響する一方、銀行など一部業種の収益環境にも関係する。配当重視型ファンドが人気を維持した背景に、こうした金利環境への意識があった可能性も考えられる。

外国株ファンドでは半導体・AIからローテーション?

外国株ファンドでは、半導体関連ファンドの順位低下が目立つ一方、米国テクノロジー株やグローバル株に投資するファンドにも異なる動きが見られた。

「世界半導体関連フォーカスファンド」(SBI岡三アセットマネジメント)はプラス8.91%と月次のパフォーマンスが飛びぬけていたが、前月第2位から第7位に大きく後退し、「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」(野村アセットマネジメント)はプラス4.08%だったが第4位から第6位に順位を下げた。一方、「netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(H無)」(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント)はプラス2.75%だったが第3位を維持した。また、「グローバル・ベスト・ファンド」(三井住友DSアセットマネジメント)は月次でマイナス1.16%だったが前月第7位から第4位にランクアップしている。

9月の米国株式市場では、「S&P500」が0.45%下落した一方、「NASDAQ総合」は1.86%上昇した。月中にはAIモデル開発の減速を巡る発言などからエヌビディアをはじめとするAI関連株が下落する場面もあったが、「NASDAQ総合」は月後半に史上最高値を更新した。米国株市場の中でも、ハイテク株を多く含む指数が相対的に堅調だったことになる。

とりわけ注目したいのは、半導体関連ファンドの順位が低下する一方で、「netWIN」が上位を維持している点だ。半導体・AI関連株への集中投資人気が一服するなかでも、テクノロジー株全般への関心が失われたわけではない可能性がある。半導体・AIという特定テーマへの投資から、より幅広いテクノロジー企業への投資へと関心が分かれていることも考えられる。米国株式市場では「ローテーション」という言葉がよく使われるようになっている。「ハイテク株から割安感のある銘柄へ資金を移すローテーションが広がった」という使われ方をしていて、ヘルスケア関連や金融などハイテク株以外の銘柄群に投資資金が向かっていることを示している。

また、「グローバル・ベスト・ファンド」の順位上昇も見逃せない。米国株一辺倒ではないグローバル運用への関心が表れている可能性もある。同ファンドは世界各国の株式を投資対象としており、2026年8月末時点のポートフォリオは、半導体・半導体製造装置が21.3%、テクノロジー・ハードウェア・機器が13.3%など、エヌビディアやアマゾン、アップルなど米国のハイテク大手が組入上位を占めているが、台湾のTSMC、英国のユニリーバ、アイルランドのリンデ、オランダのASMLホールディングスなど米国以外の国々の銘柄も組入上位に入っている。米国集中から米国以外の国々へと投資家の関心が向かっているのかもしれない。それは、国内株への関心の高まりにも表れている。

9月の福岡銀行のランキングでは、国内株ファンドの存在感が高まるとともに、外国株ファンドの中では半導体関連とその他のハイテク・グローバル株ファンドで動きが分かれた。今後、この変化が一時的なものなのか、投資家の選好の変化を示すものなのか、翌月以降のランキングに注目したい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩