投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、みずほ銀行。
みずほ銀行の投信月間販売額ランキングの2026年9月の売れ筋ランキングは、トップには前月8位から「Oneグローバル債券ファンド2026-09(限定追加型)(為替ヘッジあり)」がジャンプアップした。 第2位には、7月末設定の「JPモルガン・米国テクノロジー株式ファンド(愛称:ザ・テック・リーダーズ)」がランクインした。投資家は、「確実性のある利回り」と「新しい成長株の視点」という二つの価値を求めたようだ。前月トップだった「キャピタル世界株式ファンド」は第3位に後退。前月第2位だった「One/ティー・ロウ・プライス インフレガード&オポチュニティ・ファンド(モデレートコース(標準))(愛称:IGO)」は第5位に後退した。
※みずほ銀行サイト内「投資信託ランキング」の「月間販売額ランキング」に基づき編集部作成。期間:2026年9月1日~9月30日。
https://www.mizuhobank.co.jp/fund/ranking/index.html
「インフレ」対応より債券ファンドの高利回りを好感
9月は、米10年債利回りが5.28%と2007年6月以来の水準に上昇し、日本の新発10年債が1996年9月以来となる3.015%になるなど欧米・日本の長期金利が歴史的な高水準に達した。日銀も政策金利を1.25%に引き上げ、日本で長年にわたって続いた「ゼロ金利」が完全に払しょくされ「金利ある世界」が戻ってきたと実感できるようになってきた。この環境は投資家に「今のタイミングの債券利回りをピンポイントで獲得できる」というベネフィットを提供できる「Oneグローバル債券ファンド2026-09(限定追加型)(為替ヘッジあり)」(設定はアセットマネジメントOne)の人気につながったと考えられる。
「Oneグローバル債券ファンド(限定追加型)(為替ヘッジあり)」は、5年満期・持ち切り型の運用を行うファンドだ。設定月近辺(2026年7月)の債券市場から、為替ヘッジありコースの実質的な平均最終利回りは年2.67%程度が期待できるとアナウンスされていた。国内個人向け国債(固定5年)が10月募集分で2.39%の時期に、2.6%~2.7%の確定利回りを狙える商品は魅力が大きい。
投資家の一部が「利回り」を求めていることは、ランキング上位に入った「NWQグローバル厳選証券ファンド」(大和アセットマネジメント)の第4位維持にもみてとれる。同ファンドは、米国ドル建ての証券で魅力的なポートフォリオを構築するファンドだが、2026年8月末時点のポートフォリオは、投資適格社債30.5%、ハイイールド債券28.4%、優先証券13.7%、転換社債6.9%、株式18.2%になっている。債券を中心にしつつ、株式や転換社債も組み合わせた“利回り追求型の複合ファンド”である。最終利回りは5.3%、直接利回りは5.9%が期待できる。もっとも、ハイイールド債や優先証券に加え株式にも投資するので値動きは大きい。このため安定重視の投資家には厳しいが、逆に、株式市場が不透明な局面では、株式よりも利回りの確実性を重視する層にとって魅力的な選択肢となっている。
一方、インフレから資産を守ることを主たる目的とした「IGO(標準型)」(アセットマネジメントOne)は前月2位から今月は5位に後退した。本来なら不安定相場で選ばれやすいはずだが、今回は「確定利回りを提示できる債券ファンド」に需要が流れたようだ。「IGO(標準型)」は、「日本のインフレ率を長期的に2%程度上回るリターンをめざす」という設計で、世界の株式・債券・REITなどを組み合わせる。2026年8月末時点のポートフォリオは、国内株式7.1%、世界株式32.2%、国内債券25.5%、世界債券15.5%、インフレ関連資産19.8%という構成だ。9月は「守りのために債券に投資する」という、より直接的な選択肢が存在したため相対的に順位を落としたと考えられる。
脱・M7依存の米国集中テクノロジー株ファンド
第2位に入った「JPモルガン・米国テクノロジー株式ファンド」(JPモルガン・アセット・マネジメント)は、従来のテクノロジー株式ファンドとは異なる視点を持つ。「テクノロジー・リーダー企業となる可能性を秘めた企業をいち早く発掘して投資を行う」このファンドは、「マグニフィセント・セブン(M7)」に依存せず、中小型株まで含めて50~70銘柄に分散投資する“非M7型”のアクティブ・テック株ファンドだ。
9月はAI関連株が調整し、大型テック株が一服した月だった。その中で、「次のテクノロジー・リーダーを発掘する」という視点が投資家の妙味につながったと考えられる。結果として、グローバル成長株に分散投資する「キャピタル世界株式ファンド」(前月第1位)(キャピタル・インターナショナル)は第3位へ後退し、非M7型とはいえ米国株に集中投資するテクノロジー株ファンドがその座を奪うことになった。米国テック株への根強い期待が感じられる動きだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩-

