投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、常陽銀行。
常陽銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2026年9月のトップは、前月同様に「日経225ノーロードオープン」だった。第2位も前月と同じ「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が維持した。第3位には前月第6位の「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」が3ランクアップした。一方、前月第3位の「のむラップ・ファンド(積極型)」は第4位に、第4位の「のむラップ・ファンド(普通型)」は第5位に、第5位の「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」は第6位に、それぞれ後退した。また、トップ10圏外から「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第10位にランクインした。
※常陽銀行サイトの投資信託ランキング一覧から「販売件数ランキング」の「2026年9月」のデータに基づいて編集部作成。
https://www.joyobank.co.jp/personal/invest/toshin/ranking.html
「NASDAQ100」、米ハイテク株の強さが際立つ
9月のランキングで目立ったのは「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」(設定はアモーヴァ・アセットマネジメント)の第3位への浮上だ。同ファンドは6月に第2位まで上昇した後、7月は第4位、8月は第6位と後退していたが、9月に再びトップ3に返り咲いた。米国ハイテク株への根強い投資意欲がうかがえる。
9月の米国株式市場は、金利上昇が重荷となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を0.25%引き上げ、米10年国債利回りは月末に5.28%まで上昇した。金利上昇は成長株にとって逆風となるが、9月の「S&P500」が0.45%下落した一方、「NASDAQ総合指数」は1.86%上昇し、月後半には史上最高値を更新した。
こうした市場環境の中、「インデックスファンドNASDAQ100」の9月の月間リターンはプラス1.34%だった。常陽銀行の売れ筋ではトップの「日経225ノーロードオープン」(アセットマネジメントOne)がプラス1.20%だったが、外国株式ファンドは「グローバル・ロボティクス株式ファンド」(アモーヴァ・アセット)がマイナス0.96%、「eMAXIS 先進国株式インデックス(除く日本)」(三菱UFJアセットマネジメント)がマイナス3.12%、「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(朝日ライフ アセットマネジメント)がマイナス3.05%だった。外国株式ファンドのなかでは異例の強さが際立つ。
ただ、NASDAQ100はハイテク関連銘柄への集中度が高い。9月末時点の組入上位銘柄はエヌビディアが8.14%、アップルが7.15%、マイクロソフトが5.62%。業種別では半導体・半導体製造装置が33.4%を占める。AI関連投資の拡大による成長が期待できる半面、半導体需要の減速や金利上昇によって株価が大きく調整する可能性もある。今後も高い成長を維持できるかは、AI関連投資の持続性がカギになる。
「フィジカルAI」に投資するファンドとは?
第6位の「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」は、7月に第2位へジャンプアップした後、8月は第5位、9月は第6位と順位を下げた。ただ、同ファンドの投資対象であるロボティクス関連産業では、AIが現実世界の状況を認識し、ロボットや機械を自律的に動かす「フィジカルAI」が新たな成長テーマとして注目されている中で、新しい成長期待が高まっている。
フィジカルAIは、生成AIの技術を物理的な作業に応用するもので、工場の生産ラインや物流倉庫、医療現場などでの活用が期待される。従来のプログラムに従って動くロボットから、周囲の環境を認識し、自ら判断して動くロボットへと進化することで、関連産業の市場が爆発的に拡大する可能性がある。
では、同ファンドはフィジカルAIの成長を捉えるポートフォリオになっているのだろうか。9月末時点の組入上位銘柄を見ると、手術支援ロボットの米インテュイティブサージカル(4.5%)、AI半導体大手のエヌビディア(4.3%)、産業オートメーションのABB(3.9%)、シーメンス(3.9%)、工場自動化向けセンサーのキーエンス(3.7%)などが並ぶ。
これらの企業は、フィジカルAIを実現するための異なる技術領域を担っている。エヌビディアはAIの計算処理、キーエンスは機械が周囲を認識するためのセンサー、ABBやシーメンスは産業機械の制御技術に強みを持つ。ロボットそのものだけでなく、AIの頭脳、感覚、動作を支える企業を幅広く組み入れている点が特徴だ。
業種別構成比でも、半導体・半導体製造装置が25.6%、テクノロジー・ハードウェアが16.9%を占める一方、資本財も36.4%に達する。「NASDAQ100」と比べ、AIを現実世界で活用する産業基盤への投資比率が高い。フィジカルAIの普及による成長機会を幅広く捉えるポートフォリオと評価できる。ただし、フィジカルAIがどの程度企業の利益成長に貢献するかは今後の検証が必要だ。
ファンドのマンスリー・レポートによると、運用会社は、労働力不足や賃金上昇、サプライチェーンの見直しなどが自動化投資を後押しするとみている。生成AIの成長を支えてきた半導体関連企業に加え、今後はAIを実際の産業活動に活用する企業にも成長機会が広がる可能性がある。「グローバル・ロボティクス株式ファンド」が、フィジカルAIの普及を企業収益の成長として取り込めるか注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

