投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、野村證券。

野村證券の投信(ファンド)人気ランキング2026年7月のトップは前月同様に「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i 日経225)」だった。第2位には前月第3位の「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」が、第3位には前月第4位の「eMAXIS日経225インデックス」が上がり、前月第2位だった「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は第4位に後退した。また、「のむラップ・ファンド(積極型)」が第7位に上昇し、トップ10圏外から「のむラップ・ファンド(普通型)」が第9位にランクインした。前月第6位だった「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は第10位にまで下がった。

※野村證券サイト「投資信託(ファンド)人気ランキング」の「買付金額トップ10」に基づいて編集部作成。期間:2026年7月1日~7月28日。
https://advance.quote.nomura.co.jp/meigara/nomura2/frankht1.asp

S&Pと日経が上昇、半導体や宇宙などテーマ型がランクダウン

野村證券の売れ筋ランキングで「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」(野村アセットマネジメント)や「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」(東京海上アセットマネジメント)といった特定業種・特定テーマに絞って投資するファンドが大きくランクダウンしている。代わって、「eMAXIS 日経225インデックス」(三菱UFJアセットマネジメント)や「eMAXIS S&P500インデックス」(三菱UFJアセット)、また、「のむラップ・ファンド(積極型)」「同(普通型)」(野村アセット)など、インデックスファンドやオーソドックスなバランスファンドといった「基本のファンド」がランクアップした。

7月の市場は、米「S&P500」はマイナス0.1%と弱い横ばいだったものの、「NASDAQ総合」はマイナス3.2%と下落し、国内「日経平均株価」はマイナス8.1%と大きく下げた。これは、7月7日に韓国サムスン電子が好決算を発表したにも関わらず株価が大きく下落し(7月14日までに21%超の下落)、同業のSKハイニックスの株価も下落(同27%超の下落)、これを受けて、国内の半導体大手であるキオクシアHDの株価も大きく下落(7月月間で48%超の下落)するなど、半導体関連を中心に、市場をリードしてきたAI関連株が来期以降も足元の好調な業績を維持できるものなのかという懸念が出てきたことが下落のきっかけになった。

AI関連株については、ハイパースケーラー(大規模なデータセンターを保有・運用する超大手企業=アマゾン、マイクロソフト、グーグル、メタ、オラクルなど)の巨額の設備投資計画という一握りの企業の動向に左右されやすいという脆弱(ぜいじゃく)性がある。宇宙関連は6月に上場したばかりのスペースXの業績や投資計画に左右されやすい傾向があり、7月にはスペースXの株価がさえなかったことが「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」の人気低迷に関連していると考えられる。

特定の業種やテーマに絞り込んで投資するファンドは、市場の関心が高まる局面では短期間に大きく上昇するが、反対に、その業種やテーマに何かの悪材料が出ると価格が急落することがあり、価格変動率(ボラティリティ)が大きい。たとえば、「世界半導体株投資」の1年リターンは6月末時点では118.5%だったが、7月末時点では72.4%に落ちた。「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」も6月末で51.0%だったものが7月末は27.8%に落ちている。特定テーマ型が人気化するのは、株式市場全体に上昇機運が高まっている時に多い。7月のように市場の先行きに迷いが生じる局面では人気が離散しがちだ。

「のむラップ」の安定流入にバランスファンド人気のきざし?

資産形成のコアとしてわかりやすい代表的な資産を組み合わせた「国際分散投資」を提案する「のむラップ・ファンド」が安定した支持を集めている。株式やREITなどリスク性資産に75%以上を配分する「のむラップ・ファンド(積極型)」は、7月末時点で1年リターンが22.6%。株式と債券の比率がおおむね半々の「のむラップ・ファンド(普通型)」は1年で14.7%のリターンになっている。インフレによる実質価値の目減りから資産を守りつつ、安定的に増やすことを目的にしている。投資の初心者から長期の資産形成をめざすつみたて投資に活用されていると想像できる。特定テーマ型ファンドなどへの資金流入が鈍る局面で、安定的な資金流入がある「のむラップ」の存在感が目立つことになる。

株式や債券に投資するバランス型ファンドは、国内10年債利回りが年3%近辺に上昇したことで、米国10年国債利回り4.7%近辺、英国10年国債利回り5%近辺、独10年国債利回り3%超など、世界各国の長期債投資で一定水準の利回りが期待できるようになってきた。一時期は日本と欧州で長期債利回りがマイナス水準に沈んでいたことと比較するとバランス型ファンドは安定的な成績が見込まれる債券投資と積極的な資産成長を狙う株式投資の組み合わせの効果が期待できる環境になっている。バランス型ファンドの人気復調につながるかどうか見守りたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩