投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、三菱UFJ銀行。

三菱UFJ銀行の販売額(1カ月)ランキング2026年7月のトップ4は前月と同じだった。トップは「eMAXIS 日経225インデックス」、第2位に「MUFGウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」、以下は「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)だった。第5位に「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」が前月の第10位からジャンプアップし、前月第5位だった「eMAXIS 日経半導体株インデックス」は第8位に落ちた。また、前月第8位だった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第10位に下がった。

※三菱UFJ銀行のサイト内の投資信託検索サイト、「ファンドランキングから探す」の「販売額:1カ月」に基づき編集部作成。期間は2026年7月。
https://fs.bk.mufg.jp/webasp/mufg/fund/ranking/hanbaigaku_1m.html

ランクが第10位にまで落ちた「S&P500」

三菱UFJ銀行の7月の販売額(1カ月)ランキングでは、「日経平均株価」や「全世界株式(オール・カントリー)」連動型インデックスファンドの人気は継続しているものの、米国株式「S&P500」に連動するインデックスファンドは人気が離散し、ついに第10位にまでランクダウンしてしまった。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)は、三菱UFJ銀行のランキングでは2025年1月はトップにあった。その後はじりじりと順位を下げることになった。2025年2月にトップに立った「eMAXIS 日経225インデックス」は、その後もトップまたは第2位のポジションをキープし続けている。

2020年以来の年次リターンを「S&P500」と「日経平均株価(日経225)」で比較すると、「S&P500」は2020年にプラス16.26%、2021年はプラス26.89%、2022年はマイナス19.44%だったが、2023年にプラス24.23%、2024年がプラス23.31%、2025年はプラス16.4%という成績だった。2022年はインフレ抑制のための急激な利上げがあったために下落したが、2023年以降は生成AIブームに後押しされた大型ハイテク株の上昇にけん引されて3年連続で2ケタの高い上昇を続けてきた。

これに対して「日経225」は、2020年がプラス16.0%、2021年はプラス4.9%であり、コロナショック後の立ち上がりで「S&P500」に圧倒された。2022年はマイナス9.4%、2023年はプラス28.2%で「S&P500」を上回り、2024年はプラス19.2%、そして、2025年はプラス26.2%だった。2025年は「S&P500」を上昇率で大きく引き離した。2023年以降の動きでは、「日経225」の方が「S&P500」よりも良好な成績をあげるようになってきたといえるだろう。しかし、市場の人気は2020年以降の「S&P500」の上昇率の印象をひきずっていたのだろう。2025年1月までは「S&P500」の人気の方が高かった。2025年2月以降は「日経225」の上昇率をストレートに評価する人気が続いている。

2026年8月14日までの年初来上昇率は「日経225」がプラス36.50%で、「S&P500」はプラス13.74%だ。「日経225」の上昇に拍車がかかっている。過去2年程度の期間でみれば価格上昇率で「日経225」が圧勝している。しかし、「S&P500」は「日経225」には劣っているものの、価格は上昇し続けている。過去3年連続で2ケタ上昇に続いて、今年も8月までは2ケタの上昇率だ。8月13日には史上最高値も更新している。しかも、為替変動の影響も加えた「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のリターンは、2026年7月末時点で過去3年は91.22%で「eMAXIS 日経225インデックス」の102.05%に負けているが、過去5年では161.97%で「eMAXIS 日経225インデックス」の153.81%を上回っている。ランキングのトップ10から滑り降りそうになるほどにひどい運用成績とはいえない。

この人気の低迷は、単純に「運用成績が見劣りする」ということだけではないだろう。「イランとの戦争を終結できない米国に感じる力の衰え」、あるいは、日米同時介入をして「ドル安」を後押しした「米ドルの先安観」など、米国が他の国より格段と魅力的な投資先とはいえないという「米国に対する失望感」が表れているようだ。このまま「S&P500」がトップ10を外れて低迷するのか? あるいは、復活して以前の人気を取り戻すのか? その行方を見守りたい。

「日経半導体株」は7月はマイナスも過去1年で圧倒的な成績

「eMAXIS 日経半導体株インデックス」(三菱UFJアセット)は、6月の月間リターンが24.06%だったが、7月はマイナス29.47%と大きく下落した。それでも7月末時点で過去6カ月のリターンが35.93%、過去1年では137.81%と他を圧倒するパフォーマンスになっている。世界の株式市場で起きている「AIブーム」は、半導体なくしては成立しない。かつ、国内の半導体関連企業は半導体市場において世界的に重要なポジションを獲得している企業が少なくない。今後も当面は半導体が市場の主役の座に居座り続けそうな気配だ。ただ、6月の急騰、そして、7月の急落にみられるような、大きな価格変動は半導体株に投資する限りは避けられない。それだけ成長期待は強く、そのために、株価水準も高くなってしまっているためだ。

「eMAXIS 日経半導体株インデックス」のような乱高下のあるファンドは、特に、その価格下落時の動きに耐えられないと感じる投資家も少なくないだろう。その場合は、より穏やかな動きをするファンドに乗り換えるという選択肢もある。半導体の将来性に期待しているのであれば、世界の半導体関連株に投資するファンドの方が値動きはマイルドになる。あるいは、さらに投資対象をIT関連株に広げるなど、より分散されたポートフォリオを求めることが常道だ。個々のファンドの基準価額の値動きの性質を理解して継続保有することに無理のないファンドを選びたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩