モーニングスター提供のデータに基づいた2026年7月の投資信託の純流入額(推計値)直近1カ月ランキングでは、前月とトップ4は変わらなかったものの、第5位以下の顔ぶれが大きく変わった。トップ4は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)」をトップに、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のベスト)」、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドD(毎月・予想分配・ヘッジ無)」だった。第5位には新設ファンドの「野村構造変化日本株ファンド」がランクインし、前月第5位だった「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」はトップ20以下に落ちた。
この他、「半導体」「宇宙関連」「AI」「NASDAQ100」などに関するファンドがトップ20圏外になった。代わりに、第7位から第10位に新設ファンド「JPモルガン・米国テクノロジー株式ファンド」の他、「国内債券インデックス・オープン(ラップ向け)」、「日経225ノーロードオープン」、「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」がランクインした。
「オルカン」の純流入額は「S&P500」の2倍
純流入額トップ4は、月間純流入額が1000億円を超え、かつ、純資産総額も1兆円を超える巨大ファンドだ。毎月一定程度のつみたて投資の対象となっているファンドと考えられ、つみたてニーズが変わらない限りは現在のポジションをキープし続けるものとみてとれる。
特に、「オルカン」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)と「eMAXS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセット)は、ともに純資産残高が10兆円を大きく上回る代表的なつみたて投資ファンドになっている。新興国も含む全世界の株式に分散投資する「オルカン」と、米国一極集中の「eMAXS Slim 米国株式(S&P500)」とではファンドの性格が異なり、近年は「オルカン」を選択する投資家が増えている。7月の月間純流入額は「オルカン」が約4465億円で、「eMAXS Slim 米国株式(S&P500)」の約2171億円とは2倍の規模の差になっている。
三菱UFJアセットマネジメントの発表によると、「オルカン」の保有者数は2026年6月末時点で約686万人となり、新NISA開始前の2023年12月末(約255万人)と比較して約2.7倍になった。同じく「eMAXS Slim 米国株式(S&P500)」の保有者は約590万人で新NISA開始前(約308万人)から約1.9倍になっている。新NISA開始前は「eMAXS Slim 米国株式(S&P500)」の保有者数の方が多かったが、新NISA開始から「オルカン」の支持者が増え、2024年6月末には「オルカン」の保有者数が約424万人となり「eMAXS Slim 米国株式(S&P500)」の約420万人を上回った。その後は同じように保有者数が拡大していったが、2025年12月末から2026年6月末までの半年間で「オルカン」保有者数が約118万人増加したことに対し、「eMAXS Slim 米国株式(S&P500)」保有者数の増加は約50万人にとどまり、増加した保有者数で2倍超の差ができている。
また、第3位の「世界のベスト」(インベスコ・アセット・マネジメント)と第4位の「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドD」(フィデリティ投信)は、ともに世界の株式市場の中から魅力的な銘柄を選定して投資するファンド。ただ、運用者や運用方針の違いからポートフォリオの内容は大きく異なっている。「世界のベスト」は「成長」「配当」「割安」の観点から投資銘柄を選定する。市場が上げ相場の時には市場の上昇に追随し、下げ相場では下落率を市場平均以下にとどめるような運用に特徴がある。いわば、「全天候型」の運用だ。投資銘柄数は49銘柄と厳選されているが、投資地域は北米が51.6%、欧州が41.0%など欧州の投資比率が高い。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は成長機会に着目した銘柄選定に特徴があり、2026年6月末時点の投資銘柄はエヌビディア、アルファベット、TSMC、アマゾン、マイクロソフトなど米国(82.6%)が中心、AI・半導体関連中心の運用になっている。株式市場が上昇基調にある時には、市場を上回るパフォーマンスも期待できるが、下落相場になると株式インデックス以上に下落することがある。
この運用方針の違いが2026年7月のパフォーマンスに表れている。「オルカン」や「S&P500」など主要なインデックスファンドはマイナス1%程度の下落だったが、「世界のベスト」は2.96%のプラスリターンを確保した。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」はマイナス7.59%と落ち込んだ。アクティブファンドは、インデックスファンドを上回るリターンが期待されており、パフォーマンスが振るわない状況が続くと純資金流入額にも影響が出てくることになろう。
新設ファンドが1000億円以上を集める国内株ファンド
7月の純資金流入額ランキングで、ランクアップが目立ったのは国内株ファンドだ。第5位にランクインした「野村構造変化日本株ファンド」(野村アセットマネジメント)は、国内株式の中から「マクロ環境の変化」「政策・地政学の変化」「技術革新」「日本特有のビジネス機会」の観点から、世界の中長期的な構造変化に着目し、利益成長が期待できる銘柄を選定するファンドだ。7月31日に新規設定されたばかりだが、8月3日時点の組入上位銘柄は、日立製作所、みずほフィナンシャルグループ、三菱商事、アドバンテスト、三井物産などとなっている。同ファンドでは当面の市場環境について「外部環境を巡る不確実性は残るものの、堅調な企業業績や構造改革への期待が相場を下支えすると見込まれることから、日本株市場を取り巻く環境は総じて良好である」と見通ししている。
この他にも7月のトップ20には第9位の「日経225ノーロードオープン」、第12位の「楽天日本株4.3倍ブル」、第14位の「SBI 日本株4.3ブル」、第18位の「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」などがランクインしている。特に、日々の市場の動きに対して4.3倍に増幅して動くことをめざす「楽天日本株4.3倍ブル」などレバレッジ型のファンドは、市場の先行きに強気の見方をしている投資家が多くなければ純流入額がプラスにはならないが、7月は月間で39.34%もマイナスになる中で純流入が拡大した。7月の国内株の下落を「押し目買いの好機」と捉える市場のムードを表している。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

