投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、楽天証券のデータをもとに解説。
楽天証券の投信売れ筋ランキングの2026年5月のトップ10は前月とほとんど変わらなかった。トップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、以下は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」、「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」とトップ4は前月と同じだった。第5位に前月第9位だった「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」が上がったのが唯一の変化といえる動きだった。
※楽天証券サイト「投資信託」「全銘柄ランキング(買付金額)」に基づいて編集部作成。期間:2026年5月1日~5月31日。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/find/ranking/ranking.html?term=m&target=all&age=all&x=114&y=5&type=500001&freqid=3&tget=1&group=all
「米国株」人気が継続、「国内株」は「利確」?
楽天証券の2026年5月の売れ筋ランキングは、4月と比較すると、「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」(設定は楽天投信投資顧問)の評価が高まり、4月同様に「日本株ファンド」よりも「米国株ファンド」に人気が集中する状態が継続している。中東紛争は終結に向けた協議が進んでいるものの、米国とイランの主張に隔たりが大きく、合意には至らないままに5月を越えてしまった。イラン紛争前の2月末時点では1バレルあたり60ドル台だったNY原油先物価格は4月末時点では105ドル台、5月末には87ドル台になったものの、依然として紛争前の水準は遠い。
三菱UFJアセットマネジメントが設定する「オルカン」は5月1カ月間で5.13%上昇(前月は11.56%上昇)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は5.43%上昇(同12.91%上昇)だった。大和アセットマネジメントが設定する「iFreeNEXT FANG+インデックス」は10.54%上昇(同22.86%上昇)し、楽天投信投資顧問の「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」は10.52%上昇(同18.83%上昇)だった。米国株式市場では、「マグニフィセント・セブン」に代表されるような大型テクノロジー株がAIブームの追い風を受けて上昇している。テクノロジー株の比率が高い「NASDAQ」が「S&P500」に勝る動きになっている。今回の順位変動は、一部の投資家が軸足を「S&P500」より「NASDAQ100」の方に動かしたためと考えられる。
AIブームについては、いわゆる「ハイパー・スケーラー」(自社で巨大なデータセンターを運営するIT超大手企業)といわれるアマゾン、マイクロソフト、グーグルなどが巨額な設備投資計画を策定・実行に移していることから、関連企業の高い成長期待は依然として強い。発表のあった2026年1月-3月決算においても好業績を発表した企業を中心に引き続きAI関連株が市場のけん引役になるとの期待が、「iFreeNEXT FANG+インデックス」や「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」の人気を押し上げていると考えられる。
一方、国内株は三菱UFJアセットの「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は6.21%上昇(前月は6.57%上昇)だった。また、トップ10に入っていない「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は11.90%上昇(同8.19%上昇)とむしろパフォーマンスはよい。「日経平均株価」は米「FANG+インデックス」とそん色のないパフォーマンスだったが、投資家の期待値は前々月、そして、前月よりも落ちているという結果になっている。
国内株は「日経平均株価」が5月には連日の史上最高値更新となり、月末まで史上最高値更新を実現し、6万6000円台に乗せた。これは前年末から32%高、1年前と比較して約75%高という水準になっている。この国内株の上昇率は、米「S&P500」の前年末比約11%高、1年前比約28%、「NASDAQ総合」の前年末比約16%、1年前比約41%と比較すると大きい。過去1年で大きく値上がりしたために、いわゆる「利益確定の売り」も出やすいということだろう。また、米国株と比較して低迷期間が長かった国内株には継続的な株価上昇のイメージが持ちにくいという側面があるのかもしれない。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

