投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、足利銀行。
足利銀行の月間売れ筋(店頭月間販売件数)ランキングの2026年6月のトップは前月第2位だった「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」が上がった。第2位には前月第3位の「のむラップ・ファンド(積極型)」が上がり、前月トップだった「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(為替ヘッジなし)『電力革命』」は第3位に後退した。また、第4位には前月第5位だった「ニッセイ/サンダース・グローバルバリュー株式ファンド(隔月予想分配金提示型)」が上がり、前月第10位だった「ノムラ・ジャパン・オープン」が第7位にジャンプアップした。トップ10圏外から「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」が第9位にランクインした。
※足利銀行サイトのファンドランキング「店頭月間販売件数」に基づいて編集部作成。期間:2026年6月1日~6月30日。
https://www.wam.abic.co.jp/contents/C130129/wam3/1/pc/fundrnk.html?_com_id_product=1&_com_id_company=C130129&date=202607232015&date=202607232015&_biz_id_ranking=01&_biz_rankingseq=1&_com_id_screen=91505001&_com_id_session=02202607230401566042
「宇宙」「バリュー株」の評価が高まる
足利銀行の投信売れ筋(店頭販売件数)で6月にトップに立った「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」(設定は東京海上アセットマネジメント)は、6月12日にNASDAQに新規上場した「スペースX」の人気が波及したものと考えられる。世界的な注目を集めて新規上場した「スペースX」は売出価格135ドルに対し、初値は150ドル、そして、3営業日目に高値225.64ドルまで上昇した(終値は201.80ドル)。しかし、その後の株価は低迷し、7月16日には売出価格を割り込む131.11ドルに下落。7月22日には115.26ドルになった。同ファンドでは、6月末時点で「スペースX」を保有していることを明らかにしている。
6月1カ月間の同ファンドのパフォーマンスはマイナス9.63%だった。ただ、2026年6月末時点で過去1年間は50.96%、3年で176.39%、5年で210.76%という非常に高いパフォーマンスを残している。中長期の投資対象として「宇宙」関連事業の成長に期待する場合は、短期間の下落に左右されることなく、保有を継続することになるのだろうが、6月に続いて7月も軟調な状態であるだけに、このままトップを維持できるのか注目される。
第4位になった「ニッセイ/サンダース・グローバルバリュー株式ファンド(隔月予想分配金提示型)」(ニッセイアセットマネジメント)は、企業の本質的な価値に対して株価が割安と判断される株(バリュー株)に投資する。これまでの市場が、企業の成長に着目して投資魅力のある株(グロース株)主体の展開が続き割高という指摘が強まっていただけに、これまで活躍してこなかったバリュー株にチャンスが巡ってくるという考え方は十分に可能だ。6月1カ月間は1.34%と横ばいだったが、6月末時点で過去1年のリターンは49.70%と「S&P500」連動型インデックスファンドの36%程度や「先進国株式(MSCIコクサイ)」連動型インデックスファンドの35%程度を大きく上回っている。
「国内株」「ロボティクス」も
また、「ノムラ・ジャパン・オープン」(野村アセットマネジメント)はトップ10の中で唯一の国内株アクティブファンドだ。2020年3月のコロナショックで下落した後の世界の株式市場は米国テクノロジー株式にリードされて大きく上昇したが、足元では国内株式市場の上昇率が米国株式市場を上回っている。6月1カ月間のリターンは0.33%だったが、6月末時点で過去1年は83.05%と群を抜くパフォーマンスになっている。
そして、「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」(アモーヴァ・アセットマネジメント)は、AIの進展において注目される「フィジカルAI(物体をつかむ、空間を移動する、機械を操作するなど実際の動作・作業を物理的なデバイスを介して行うAI)」の主役であるロボティクス関連企業に投資するファンドだ。製造業や物流(倉庫)では実用化が進み、高度化の段階を迎えている。また、自動運転も実用化に向けた開発が加速している。6月の月間リターンは1.14%だったが、過去1年では56.69%になっている。
このように、6月の売れ筋ランキングで順位を上げたファンドは、それぞれに異なる魅力を備えたファンドということができる。6月のパフォーマンスが特に優れた内容ではなかったにもかかわらず、これらのファンドが一斉に注目されたのは、今後の見通しに統一的な見方が固まっていないことを表しているともいえるだろう。半導体とAI関連株で突き進んできた市場が行き詰まり感を強め、違う出口を探しているようにみえる。半導体やAI関連も決して終わったわけではないため、新たな候補も含めて次は何が主役を務めるのか、注意深く行方をみていきたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

