投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、みずほ銀行。
みずほ銀行の投信月間販売額ランキングの2026年6月のトップは前月同様に「One/ティー・ロウ・プライス インフレガード&オポチュニティ・ファンド(モデレートコース(標準))(愛称:IGO)」だった。第2位は前月第10位だった「シティグループ社債/One米国株式・金戦略ファンド2026-06(愛称:おまもりOne・M3)」がジャンプアップし、前月第2位だった「One/ティー・ロウ・プライス インフレガード&オポチュニティ・ファンド(オポチュニティコース(積極))(愛称:IGO)」は第3位に後退した。また、前月第9位だった「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」が第7位に上がった。
※みずほ銀行サイト内「投資信託ランキング」の「月間販売額ランキング」に基づき編集部作成。期間:2026年6月1日~6月30日。
https://www.mizuhobank.co.jp/fund/ranking/index.html
資産を守る「おまもりOne」や「IGO」が人気
みずほ銀行の投信販売額ランキングでトップにある「IGO」(設定はアセットマネジメントOne)は、「インフレ(物価上昇)」から資産を守りつつ、プラスアルファのリターンを狙うファンドだ。投資対象は、国内株式、国内債券、世界株式(新興国含む)、世界債券、および、REIT(不動産投信)等であり、これに加えて「リアルアセット関連資産(実物資産)」、および、物価連動国債等に投資する。「モデレートコース(標準)」は日本のインフレ率を2%程度上回るリターン(リスクは年率9%程度)をめざす。実質的な運用は、インフレに関して50年以上にわたる調査・分析・運用実績があるティー・ロウ・プライスが担当する。
これに対して、第2位に躍進した「おまもりOne・M3」(アセットマネジメントOne)は、シティグループ・グローバル・マーケッツ・ホールディングスが発行する円建て債券に投資し、設定日から約5年後の満期償還時には元本確保をめざしつつ、債券の利金の獲得をめざす単位型ファンド。投資する債券の利金は、「米国株式・金戦略指数VT3」の累積収益率により決定される実績連動クーポンと固定クーポンで構成される。「米国株式・金戦略指数VT3」は、米S&P500先物を70%、金先物を30%の構成を基本配分とし、目標リスク水準が年率3%程度となるように先物の合計構成比率を0~100%程度の範囲内で調整する。7月8日に発表された資料では、同ファンドが6月26日に約100.5億円で設定し、運用を開始したこと、固定クーポンは0.75%、約2.5年後の利払時の連動率は160%であることを発表している。元本確保を狙いつつ安定的な収益をめざすファンドだ。
「IGO」と「おまもりOne」では、投資対象資産や運用方針をみると、「IGO」の方が高いリスクをとっているものの、ともに安定的なリターンをめざすファンドといえる。半導体関連株ファンドやテクノロジー株ファンドが株価上昇による大きなリターンを期待して投資されるファンドであることに対し、「おまもりOne」は資産を守ることを第一義とし、そこに、プラスαの収益を上乗せすることをめざすファンドだ。そして、「IGO」はインフレ率に勝る収益の獲得をめざすファンドで、リスクを抑える運用の中ではリターンにもこだわったファンドになる。ランキングで上位につけるのは、守りを重視する戦略よりも、リスクを負ってもリターンの獲得をめざす戦略だ。投資家の心理としては、守りのファンドであってもリターンを求めるものに支持が集まりやすい状態にあるのだろう。
ハイテク株高期待の「netWIN」もランクアップ
一方、6月のランキングでは「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント)のランクアップが目立った。同ファンドは6月の月間リターンが1.06%と横ばいだった。この結果は、「S&P500」連動型インデックスファンドの0.3%台や「全世界株式(オール・カントリー)」連動型の0.7%台よりも良かったとはいえ、「SOX(フィラデルフィア半導体株指数)」連動型の8.8%台と比較すると物足りない水準ともいえる。組み入れ銘柄上位にはアルファベット、エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン、マイクロンテクノロジーなど、これまで米国株式市場をけん引してきた大型テクノロジー株式が並ぶ。これまでの株高環境の復調を期待する動きと感じられる。
「netWIN」の人気は、リスク管理に軸足を置いた「おまもりOne」や「IGO」などとは対極にあるような「リスクオン」の選択だ。これらが併存することが「分散投資」の姿といえる。6月のランキングではバランスが「リスク管理」に傾いている。今後、このバランスがどのように変化していくのかにも注目していきたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

