中国とインド市場の展望

それでは、中国とインドの市場展望について見ていきます。

まず中国です。トランプ関税の影響を避けるために猶予期間での輸出が集中した結果として純輸出は増加したものの、足元では経済成長の鈍化が続いています。今後の成長のためには、より強力な消費と投資の成長を促進する新たな国内刺激策が不可欠です。

ただし、不動産市場の不調によるデフレ圧力は継続するでしょう。住宅市場では供給過剰が問題で、完成済み未販売物件が約600万戸分、建設中の物件は約6年分の販売量を在庫として抱えています。供給過多による住宅価格の下落は、家計の資産価値の低下を招き、個人消費を押し下げる要因になっています。

次に、インドです。インドでは2025年に2つの減税策と政策金利の引き下げが実施されました。

前出の所得減税とGSTの税率引き下げ、そして政策金利の引き下げになります。2025年の2月から6月にかけて累計で1.00ポイントの利下げにより政策金利が5.5%まで引き下げられています(2025年12月にも政策金利を0.25ポイント引き下げられた為、現在は5.25%)。インフレ率は過去数十年で最も低い水準にあり、利下げは今後も続く見込みです。

ただし、インドの消費者信頼感指数を見ると、改善傾向にあります。これは、各種の減税対策や低金利環境、豊作による農村所得の押し上げなどによる結果です。また、減税や利下げによる景気拡大が見込まれるので、今後は投資も拡大するでしょう。さらに、インドは国内投資がほとんどで、強力な国内からの資金流入が外国投資家の流出の影響を緩和する構造にある点も注目に値します。

米国の成長鈍化と粘着性の強いインフレという先行き不透明な環境に突入しましたが、このことはアジアの優位性が継続することも示唆しています。アジアの各国で緩和的な政策が実施されており、投資機会も増加するでしょう。

ただし、アジアと一口に言っても、多種多様な国があり、市場の様相も全く異なります。各国の状況を細やかに見ていきながら、適切な投資対象を厳選する必要があるでしょう。