日米金利:日本の長期金利は2%台定着、米国は緩和バイアスと労働市場軟化で3%台半ば目指す
インベストメント・ストラテジーズの塚本憲弘氏は2026年の日米金利見通しについて解説。米国については、「年前半に2回の利下げで中立的な金利水準に到達し、長期金利は3.3〜4.5%のレンジで、3%台半ばを目指す」と予想。
米国の中立金利は2.5~3.5%で、これは自然利子率(0.5〜1.5%)にインフレ率(2.0%)を加えた水準。現在の3.5~3.75%から労働市場の鈍化とインフレの落ち着きを利下げ要因とし、「特に年前半は中立域に向けた利下げがしやすい状況だが、年後半は中間選挙を控え、トランプ政権が再選に向けた政策を打ち出してくる可能性がある」と塚本氏。低所得層向けの政策が出てくればインフレや経済に判断材料を与える可能性があるという。
長期金利については、FRBの緩和スタンスへの転換が進むことで低下を見込み、需給面では規制緩和に基づく米国の銀行による国債購入の増加が期待できると指摘。米国債の利回りと株式の益利回りの差はITバブル期以来となるゼロからマイナスの状況に入ってきており、「債券が株式ほどのボラティリティにさらされなくとも利回りが取れる相対的な妙味を出してきている意味で注目している」と塚本氏。
日本の金利見通しについては、12月18日に日銀が政策金利を0.75%へ引き上げると決定したことを受け、塚本氏は「半年後にもう1回の利上げで中立金利の下限(1%)に到達すると想定している」と述べ、長期金利についても「短期金利の動向と経済成長により2.0%を突破する」との見方を示した。中立金利は自然利子率のマイナス1.0〜プラス0.5%にインフレ率の2.0%を加えた1.0〜2.5%程度が理論値だが、そもそも構造的に物価上昇のフェーズが変わってきているという。
2026年を見据えるにあたってGDPの底上げとともに長期金利が上がるというのは健全なフェーズとみていると塚本氏。一方で、海外投資家の日本国債保有比率が高まってきており、「日本の金利も徐々に海外要因に振られやすくなるかもしれない」と今後に警鐘を鳴らした。
