景気減速の兆しが見えながらも旺盛な個人消費によって景気が維持されている米国、インフレが進みつつも実質賃金が上がらず消費に火が付かない日本……国ごとに抱える経済事情が異なるなか、2025年は金利の爬行性が強まった1年だったと総括できるだろう。果たして2026年の金利動向はどうなるのか? このほど来日したMFSインベストメント・マネジメントの債券運用部門 共同最高投資責任者であるアレキサンダー・マッケイ氏に話を聞いた。

2026年の金利はボラタイルに

――まず2025年のグローバル債券市場の動きを振り返って、印象的だったことは何でしょうか。

印象的だったのは、各国中央銀行の金融政策が大きく乖離したことです。米国の連邦準備制度理事会(FRB)とイングランド銀行は利下げの最中で、欧州中央銀行(ECB)は最近の理事会でも金利を据え置き、オーストラリア準備銀行は利上げに踏み切る見込みの一方で日本銀行は利上げというように、緩和路線と据え置き、さらには引締め路線とが混在しました。

2025年は年間を通して地政学的な緊張が高まりましたが、社債市場に関しては大企業のスプレッド市場を見る限り、スプレッドは2024年とほぼ同じ水準を維持し、それほど荒い動きは見られませんでしたし、リスク資産の価格も、大きく値下がりすることはありませんでした。

しかし、2026年は株式市場など、リスク資産のボラティリティは、現状に比べて高くなる見込みです。こうしたなか、ますます債券投資の妙味が高まっていくものと見ています。

 
MFSインベストメント・マネジメント 債券運用部門
共同最高投資責任者アレキサンダー・マッケイ氏