日本にも到来「金利ある世界」、長期金利の上昇局面での着目点
――日本の長期金利が2%近くまで上昇してきています。高市政権による積極財政政策の影響もあると思いますが、日本の債券市場への投資についてはどう見ていますか。
目下、日本の消費者物価指数は3%に達しており、インフレ期待が高まっているところに、高市政権は積極財政を打ち出しています。したがって当面は金利上昇の可能性が高く、したがって10年債以上の長期投資については、慎重な見方をせざるを得ません。
ただ、日銀の利上げとともに市場金利もさらに上昇していくことが予想される過程において、国内債券投資の魅力がやがて回復していくはずです。
米国では、2020年のコロナショック以降、金利が大幅に低下し、新たな債券投資の魅力は大きく後退していましたが、2022年以降は政策金利が大きく転換して持続的に高めの金利水準に転じたこともあり、債券投資の魅力が回復しました。
今後、日本の長期金利が3%、4%…という水準にまで上昇していく過程では、債券に対するバリュープロポジションは高まるでしょう。もちろん、金利水準がピークを付けた時に債券のポジションを高めるのが理想ですが、ピークのタイミングを当てに行くのは容易ではありません。ピークを待つのではなく、ある程度、早めにアロケーションすることをお勧めしますし、ピークをつけるところまで待ってしまうと、むしろ遅きに失する恐れがあります。
ポートフォリオへの債券組み入れの意義
――個人の長期資産形成において、債券が果たす役割は何ですか。
過去、債券投資の価値は低かったわけですが、2026年以降、日本でもその価値は上がっていくと見ています。
これまで日本の金利はゼロ近辺の水準でしたが、それがようやく「金利ある世界」へと転換しつつあります。
そうしたなか、これからはイールドカーブを意識する必要があります。足元の日本国債の利回りを見ると、30年債で3.3%台、40年債で3.5%台となっており、特に超長期の資産形成を行っていくうえで、安定的にこの利回りが得られるのは魅力です。しかも債券をポートフォリオに加えることにより、ポートフォリオ全体のボラティリティを抑制する効果も得られます。
前述したように、利回りがピークをつけにいく局面で債券投資を始めても、タイミング的に後れを取る恐れがありますから、まさに今から債券投資を検討するべきだと思います。
