2026年の相場はどうなるのか。日本株、米国株、為替、金利、暗号資産の各分野におけるマネックス証券の気鋭の専門家が一堂に会したカンファレンスが2025年12月18日に開催された。日経平均・日本株関連について同社チーフ・ストラテジストの広木隆氏 、日本株関連についてチーフ・マーケット・アナリストの吉野貴晶氏、S&P500・外国株関連についてチーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎氏による展望をお届けする(前編)。
日本株:資本効率改善とコーポレートガバナンス改革継続、日経平均6万円へ
日本初となる女性総理大臣が誕生し、日経平均株価が5万円超えとなる史上最高値を更新した2025年。「日本経済にとって節目の年だった」とマネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は語る。
日経平均株価の過去50年における年率平均リターンは約7%、さらに過去3年間は約20%もの高リターンとなっていることに触れ、この大幅な上昇の背景には、2023年3月に東証が上場企業に行った資本効率改善要請があると指摘。いわゆるPBR改革と呼ばれるもので、上場企業は自社株買いや配当を積極的に実施するようになった。「これにより日本企業の非効率な部分が改善されるという期待が高まり、外国人投資家が日本株に回帰してきた。これが過去3年間の株高の背景だ」と広木氏。
もう一つの注目点として、コーポレートガバナンス・コードの改訂を挙げる。2025年で制定から10周年を迎え、2026年半ばをめどに3回目の改訂が予定されている。今回の目玉はキャピタルアロケーション(資本配分)で、企業の現金の使い方にまで踏み込む内容となる見込みだ。
金融庁が定めるコーポレートガバナンス改革の実質化に向けた アクション・プログラムでは「稼ぐ力の向上」を筆頭に挙げている。「これは第2次安倍政権時に策定された成長戦略『日本再興戦略改訂2014』に書かれていたものと同じ。高市政権になってさらに日本企業の『稼ぐ力』を高める施策が加速しつつある」(広木氏)。PERも2023年の東証改革以降、じわじわと上昇しており、日本企業の資本効率改善への期待からバリュエーションが高まっていると考えられるという。
このように2026年はコーポレートガバナンス・コード改訂により日本企業の新陳代謝が進むとともにキャピタルアロケーションが大きく改善する可能性がある。21世紀の最初の四半世紀が終わり、第2四半世紀のスタートとなる2026年、「日経平均株価は過去3年間の高いリターンをさらに超え、年末には6万円に達する可能性がある」と締めくくった。
