日本株:2026年の日本株戦略はPEGレシオと業績モメンタムに注目

続いてチーフ・マーケット・アナリストの吉野貴晶氏は2026年の株式市場について、米国の中間選挙年という気になるアノマリーに着目して解説。統計的に見ると、米国の中間選挙年は株式市場にとってはあまり良い年ではない傾向があるという。これは大統領就任後、任期前半にかけては厳しい政策が取られがちであり、次の大統領選に向け後半になると徐々に緩和に転じやすいというサイクルが関係していることにある。

トランプ大統領の関税政策などはその典型だ。ただし過去のデータを見るとNYダウの中間選挙年における平均騰落率は5.2%の上昇。対する大統領選挙年は平均5.8%の上昇であり、目立って乖離が大きいわけではなく、日経平均も年間を通じて見ると上昇を保っているという。「日本株については来年度の企業業績は10%程度の成長と見込んでおり、長期的に株価に反映されるだろう」と吉野氏。

もう1つ、2026年の注目投資戦略としてPEGレシオを挙げた。PERと将来成長の2軸に着目する指標だ。日経平均のPERは18倍後半と高水準にあるが、来年度の業績成長を考慮すればこの高さをある程度許容する成長が期待される銘柄が注目される。PEGレシオの計算式はPERを成長率で割ったもの。値が小さいとPERの高さに比べて成長率が高い。経験的には1を下回ると割安で魅力的、2を上回ると割高警戒だという。割安の基準1は厳密ではないとするものの、下回る銘柄へ注目することも一つの選択肢となりそうだ。

また、リビジョン(業績予想修正)の動向も重要な投資尺度になるという。リビジョンインデックスは上方修正と下方修正の比率で、プラスならモメンタムが期待できる。吉野氏はリビジョンインデックスから相場、物色を予想する指標であるリビジョンウォッチを提示。重要な点はその変化、循環の方向を見ることだといい、TOPIXのリビジョンウォッチを例に現在は上方修正比率が高まっている段階にあると説明。年度末に向けて保守的な業績予想を出している企業が多い中で、今後の上方修正により株価が上がっていくポイントになるのではと示唆した。