投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、浜銀TT証券。

浜銀TT証券の月間売れ筋ランキングの2026年2月のトップは前月同様に「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」だった。第2位には前月第4位だった「フィデリティ・日本バリューアップ・ファンド」が上がり、前月第2位だった「イノベーション・インサイト世界株式戦略ファンド(予想分配金提示型)」は第3位に下がった。また、トップ10圏外から「お金のデザイン・グローバル・リアルアセット・ファンド(世界の実物資産中心)」が第5位に、第6位に「インデックスファンド225」、第7位に「ピクテ新興国ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド『新興国ポラリス』」、第9位に「ピクテ日本ナンバーワン・ファンド(毎月決算実績分配型)」、第10位に「米国株式配当貴族(年4回決算型)」がランクインするなど、トップ10の半数が入れ替わった。

 

※浜銀TT証券サイトのファンドランキング「月間売れ筋ファンド」に基づいて編集部作成。評価日:2026年2月28日現在。
https://awc.wealthadvisor.jp/webasp/hamagintt/

「米国大型ハイテク株」偏重から資産を分散

浜銀TT証券の投信売れ筋(販売件数)トップ10は比較的変動が大きく、ランキング銘柄の入れ替えが多い傾向にある。直近では2025年10月、11月に続けて4銘柄が新規にランクインするということがあったばかりだ。ただ、一気に半数が入れ替わるというのは珍しい。売れ筋の変化には、何か大きな市場変化の予兆があるのかもしれない。

2月の新規ランクイン銘柄で特徴的なのは5本のうち2本が日本株ファンドであり、その他の3本は「実物資産」、「新興国」、「米国高配当」と関連性のない資産クラスに分かれていることだ。この傾向をあえて読み解けば、これまで続いてきた米国大型テクノロジー株を中心とした米国株優位の流れが転換点を迎え、次の主役になる投資対象を市場が「探し始めている」という状態にみえる。

過去5年で特に顕著になった米国株式への投資偏重は、たとえば、全世界株式インデックスの代表的な指数である「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に占める米国の比率が、2010年当時は50%以下の水準だったものが年々向上し、2025年12月には60%を超える水準に高まったことにも見てとれる。米国以外の国々の比率は年々縮小していったことになる。たとえば、新興国の比率は新興国投資ブームが起こっていた2000年代に上昇し2010年にはピークを迎えて20%程度にまで拡大したが、2022年には10%程度に縮小し、その後はやや回復したが13%程度にとどまっている。日本も2000年当時は10%を超える構成比だったが、2020年以降は5%を割れる水準にまで低下。2025年には5%を超える水準に回復してきたが、2000年当時と比較すると水準は低い。

MSCI指数は世界の上場株式市場の時価総額をベースにしている。株価が上がるほどに時価総額も拡大し、構成比率も上昇する仕組みだ。全世界の名目GDP(国内総生産)に占める米国の比率は世界最大ではあるものの30%程度である。その米国が世界の株式市場の60%を超える影響力を持ってしまっているのは違和感を覚えて当然だ。世界の投資家の間でも米国株式に集中してしまった運用ポートフォリオを他の資産に分散しようとする動きが活発になってきているという。2025年の後半から2026年にかけて日本株や欧州株、また、一部の新興国株が大きく値上がりしているのは資金シフトの影響が及んでいるといわれている。浜銀TT証券の売れ筋が日本株ファンドや新興国ファンド、そして、実物資産を対象としたファンドに変化しているのは、米国株式一極集中からの是正を目的とした動きと考えるとわかりやすい。

国内株も新興国株も2000年~2010年当時と比較すると市場での存在感が低下している。また、実物資産については海外REIT(不動産投信)の価格上昇が顕著だ。先進国REITインデックスの2025年の上昇率は20%を超えている。AI投資拡大を受けたデータセンターへの旺盛な投資、そして、高齢者人口増を背景とした高齢者住宅の稼働率向上など高成長分野が出てきていることから、REIT市場の一段の成長も期待されるところだ。