投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。

SBI証券の投信販売金額人気(週間)の2026年3月第3週(3月16日~3月19日)のトップ4は3月第1週(2日~6日)と同じだった。トップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、以下は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI 日本株4.3ブル」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が続いた。第5位には前々週第7位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が上がり、トップ10圏外から「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が第6位に、そして、「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(愛称:ネクスト・ジェネレーション)が第9位にランクインした。

 

※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/3/16~2026/3/19。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&file=index.html&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price

定番インデックスに加え、アクティブファンドを評価

2026年2月28日に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃は、3週間を経過してもなお終結の道筋が見えてこない。イランの報復攻撃は周辺国の原油や天然ガスといったエネルギー関連施設に及び、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことによるエネルギー供給の停滞も重なって原油価格はたびたび1バレル=100ドルの大台突破をうかがっている。エネルギー価格の上昇は、世界各国のインフレ懸念に直結しており、2025年9月に米国が4年半ぶりに利下げに転じて以来続いていた株高局面に冷水を浴びせるような状況になっている。

世界の株価は2月27日をピークに下落基調となり、3月の第3週末までに国内の主要株価指数である「日経平均株価」はピーク比でマイナス9.31%、「TOPIX(東証株価指数)」はマイナス8.36%、英「FTSE100」はマイナス9.09%となっている。株価のピークが2月27日よりも前にある米国株は「NYダウ」がピーク比でマイナス9.19%、「S&P500」が同マイナス6.77%、「NASDAQ総合」が同マイナス9.65%と、いずれも「調整局面入り」の目安となるマイナス10%に接近している。ドイツ「DAX」はすでにピーク比で11.96%安と10%を超える下落率に達した。ピーク比で20%を超えると「弱気相場」入りといわれるだけに、これからの動向が注目される。

また、第3週末には欧米の金利が上昇し、英10年債利回りは一時5.022%と2008年7月以来の5%台乗せ、ドイツ10年債利回りは3.049%と2011年7月以来の高水準になった。米国の10年債利回りも4.38%に上昇し、これは2025年7月以来の高水準だ。原油高からくるインフレ懸念から債券利回りが上昇し、利下げ期待を背景に上昇してきた欧米株価の頭を押さえつけてしまっている。

SBI証券の投信売れ筋で依然として三菱UFJアセットマネジメントが設定する「オルカン」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がトップ2にあるのは、長期に資産形成することを目的に投資している投資家には短期的な「調整局面」にビクビクすることなく、むしろ、多少の下げは追加投資のチャンスという受け止めがあるためと考えられる。ただ、ピークから20%以上も下げるようなことになると運用効率を考えて投資先の見直しも必要と考える投資家が増えてくるだろう。また、市場の変化に柔軟に対応していこうと考える投資家の一部は、インデックスファンドの下落を受けて運用会社の裁量で動くアクティブファンドに意識を移し始めているようだ。

3月第3週で人気が高まったファンドのパフォーマンスを調べてみると、2月27日から3月19日までの推移で、SBIアセットマネジメントが設定する「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」はマイナス3.48%、インベスコ・アセット・マネジメントが設定する「世界のベスト」はマイナス4.42%、そして、朝日ライフアセットマネジメントが設定する「ネクスト・ジェネレーション」はマイナス3.63%だった。この期間に「オルカン」はマイナス2.83%、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はマイナス1.53%だった。より大きく下落した「ゴールド」や集中投資型のグローバル株式アクティブファンドが選好されたのは、今回の下落が一時的なものであり、イラン紛争が落ち着けば、再び紛争前の相場に復帰するという見方が背景にありそうだ。

グローバル成長株式が市場をけん引する流れが継続すると考えるのであれば、インデックスファンドよりも下落率が大きな「世界のベスト」や「ネクスト・ジェネレーション」の下落局面を購入することによって、株式市場が反発するとより高いリターンを得られることになる。その点では、3月第3週の時点では、株式市場の下落率は10%程度にとどまり、20%を超えるような下落は想定していないというのが多くの投資家のスタンスといえる。

もちろん、アクティブファンドが選ばれるのは、単純に時価総額の大きな銘柄によって市場全体を代表するような動きではなく、運用会社の調査・分析によってこれからの社会で成長を継続するだろう有望な企業を選び抜くことの効果への期待もある。市場の先行きが見通しにくい環境となっているからこそ「厳選」を掲げて30銘柄~50銘柄程度に集中するファンドが人気を集めている。市場全体は大崩れしないだろうという期待を保ちつつ、投資先となる企業の中身については単純にAI関連や半導体関連というだけではないところにも目配りを始めたというのが現状に近いようにみえる。

今後、投資家は、イラン紛争の行方、原油価格の推移、そして、世界各国の金利水準などさまざまな要素に注目しながら、先行きを見通そうと考えを巡らせる落ち着かない日々が続きそうだ。

執筆/ライター・記者 徳永 浩