投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SMBC日興証券。
SMBC日興証券の投信売れ筋ランキングの2026年4月のトップは、前月第4位の「マテリアル・イノベーション戦略株式ファンド(為替ヘッジなし)愛称:素材革命」だった。第2位には前月第9位の「ベイリー・ギフォード世界成長企業戦略/SMT.LN外国投資証券ファンド 愛称:クロスオーバー・グロース」が上がった。また、トップ10圏外から「ブラックロック世界好配当株式オープン 愛称:世界の息吹」が第4位に、「半導体関連 世界株式戦略ファンド 愛称:半導体革命」が第7位にランクインするなど、新設ファンドも含めて新しい投資資産に着目したファンドが人気を集めている。イラン紛争による株価下落を克服しつつある市場を前に、これからの主役を模索する動きが感じられる。
※SMBC日興証券サイトの投資信託ランキング「買付金額4(総合コース)」に基づいて編集部作成。期間:2026年4月1日~4月30日。
https://fund2.smbcnikko.co.jp/smbc_nikko_hp/fund/main/index.aspx?F=rnk_sales_gnr
「革命」に着目した高成長ファンド
SMBC日興証券の売れ筋ランキングで4月にトップになった三井住友DSアセットマネジメントの「マテリアル・イノベーション戦略株式ファンド(為替ヘッジなし)愛称:素材革命」は2026年3月13日に新規設定されたばかりのファンドだ。世界の上場株式の中から主として素材産業の構造変化および成長から恩恵を受けることが期待される企業の株式に投資する。設定後、約2カ月間で基準価額は1万1700円を超え、純資産総額も2000億円を超える規模に拡大した。
中国が独占的に世界の市場に供給してきたレアメタル(希少金属)は、EV(電気自動車)やバッテリー、半導体などに不可欠な素材であり、現在、世界的に中国に依存する状態を是正しようという動きが進み、世界的な争奪戦が激化している。希少、かつ、経済発展に不可欠な素材であるだけに素材の発見や開発もこれまでにないスピードで進化し、ファンドの愛称である「素材革命」といえる状況にある。思わぬ成長企業が誕生する可能性を秘めた分野だ。
「革命」という言葉を愛称に入れたファンドが「素材革命」を含めて3ファンドもトップ10にランクインしていることも特徴的な出来事だ。第6位に上がった「電力革命(ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド為替ヘッジなし)」(設定は三井住友DSアセット)は、ITの発展に伴って急拡大しているデータセンターの稼働で消費する莫大(ばくだい)な電力需要などをまかなう電力産業や電力市場の変革に伴い成長が期待される世界の株式(日本、新興国を含む)に投資するファンド。2024年10月28日に設定されたファンドで、設定から1年半で基準価額は2万円を超え、純資産総額は6600億円を超えている。
そして、第7位にランクインした「半導体革命(半導体関連 世界株式戦略ファンド)」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)は、日本を含む世界の株式市場から半導体関連企業に投資するファンドで2023年7月31日の設定。設定から3年足らずで基準価額は3万7000円を超え、純資産総額も4900億円を超えている。
これら「革命」に着目したファンドは、それぞれに時代のニーズが高まっている先端分野で新しい成長企業を発掘する楽しみがある。
一方、2位の「ベイリー・ギフォード世界成長企業戦略/SMT.LN外国投資証券ファンド 愛称:クロスオーバー・グロース」(三菱UFJアセットマネジメント)は、成長企業の発掘に焦点をあてたファンドといえる。同ファンドは、日本を含む世界の株式市場から未上場企業も含めて成長企業を発掘することをめざすファンドだ。2026年3月末時点で未上場企業の組み入れ比率は37.3%。未上場企業の組み入れ上位には米国のSpace Exploration Technologies(SpaceX)や中国のByteDanceなどがある。SpaceXは2026年第4位四半期にIPO(株式公開)が有力視され、TikTokの米国での規制問題を抱えるByteDanceも2027年までにはIPOが実現する見通しだ。同ファンドは2021年9月13日の設定から約5年が経過し、基準価額は1万3000円台、純資産総額は約800億円と「革命」ファンド群と比較するとファンドの評価は低いが世界的に注目度の高い未上場企業を抱えるだけに、これからの成長が楽しみなファンドだ。
SMBC日興証券の売れ筋ラインアップには、いわゆる定番商品として全国的に知名度が高い「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)愛称:世界のベスト」(インベスコ・アセット・マネジメント)や「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」(フィデリティ投信)やインデックスファンドとして人気の高い「日経225ノーロードオープン」(アセットマネジメントOne)、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(ピクテ・ジャパン)などもある。これらオーソドックスなファンドに加えて、視点のとがった新ファンドが広くランクインしているところに特徴がある。このラインアップから次の人気ファンドが育つか注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

