投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。

SBI証券の投信販売金額人気ランキング(週間)の2026年3月第1週(3月2日~3月6日)のトップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)が前々週の第3位から上がった。前々週にトップだった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第2位に後退し、第2位だった「SBI 日本株4.3ブル」は第3位に下がった。そして、第8位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」が第5位に上がり、前々週は第4位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」は第7位に下がった。

※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/3/2~2026/3/6。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_ActionID=DefaultAID&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price&file=index.html&getFlg=on
 

為替リスクのない日本株が買われ、米国集中ファンドに陰り?

2026年2月28日に米国がイスラエルとともにイランを空爆し、その後、中東地域全域を巻き込む紛争が始まったことは、世界の市場の動きを大きく変えてしまうかもしれない。空爆前まではウクライナ戦争やイスラエルのガザ地区での戦闘など地政学リスクはあったものの、世界経済は緩やかに上昇し、世界の株価は右肩上がり。米国をはじめ、欧州、日本など主要先進国の株価はそろって史上最高値を更新してきた。これは、ベースとして米国の景気が緩やかに拡大し、AI関連など米国の主要企業の業績が堅調だったことがある。このため、2024年頃から割高が指摘されていた「マグニフィセント・セブン」に代表される米大型ハイテク株が市場をリードする展開が続いてきたのだった。

その結果として国内の投信市場では米国を代表する株価指数である「S&P500」や「NASDAQ100」などに連動するインデックスファンドの人気が高く、特に、米大型ハイテク株に焦点を絞った大和アセットマネジメントの「iFreeNEXT FANG+インデックス」やゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」などが人気を集めてきた。多くの投資家が2026年の市場展望として思い描いていたのは、2025年の流れを引き継いで、引き続きAI投資拡大を背景とした米大型テクノロジー株が市場をけん引する動きだったろう。

SBI証券の投信売れ筋でも2月まで三菱UFJアセットマネジメントが設定する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「オルカン」がトップを競り合う展開が続いていた。2025年にもっとも資金流入があった「オルカン」、そして、それに次ぐ人気銘柄である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、ともに米大型テクノロジー株が指数構成銘柄のコアに位置づけられているファンドだ。

ところが、3月第1週の売れ筋では国内株インデックスファンドの「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」(設定は三菱UFJアセット)が大きく順位を上げ、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」(同)が第5位、第6位となり、SBIアセットマネジメントが設定する「SBI 日本株4.3ブル」が第3位につけ、楽天投信投資顧問の「楽天・日本株4.3倍ブル」も順位を上げるなど、国内株式ファンドが総じて順位を上げている。レバレッジ型の「4.3(倍)ブル」はリスクが高いが、国内株インデックスファンドは為替リスクを取っていない分、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「オルカン」と比較すると、先行きが見通しやすい安心感のあるファンドといえるだろう。

安心感という点では「オルカン」が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりも上位に出たのは、米国のみに投資する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に対し、新興国も含む世界47カ国・約3000銘柄に分散投資している「オルカン」の資産分散効果に安定や安心を求めたのかもしれない。

一方、「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」は3月第1週のランキングを大きく下げた。イラン攻撃開始直後の3月2日こそしっかりしていたものの、その後は価格が弱い展開が続いている。その動きに対して原油価格は上昇の一途にあり、WTI原油先物価格は2月27日に67.0ドルだったものが、3月6日には90.9ドルにまで上昇した。原油価格の水準がこのまま上昇し続けるようであると、世界的なインフレ(物価高)懸念が高まり、世界経済の行方に暗雲となる可能性がある。金価格はこれまで大きく上昇してきただけに、環境の急変には価格維持力が脆弱(ぜいじゃく)になっているようだ。