横浜銀行の売れ筋の2025年4月のトップ5は前月と同じだった。トップに「eMAXIS 225インデックス」、以下が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」、「インデックスファンド225」だった。また、「つみたて投資枠」の売れ筋トップ5にも変化がなく、「つみたて先進国株式」、「つみたて日本株式(日経平均)」、「つみたて8資産均等バランス」、「つみたて4資産均等バランス」、「つみたて米国株式(S&P500)」の順で年初来継続している。
◆「S&P500」の弱さが気になる
横浜銀行の売れ筋ファンドは、基本的な株式インデックスファンドになっている。2024年までであれば、パフォーマンスは「S&P500」、人気は「全世界株式(オール・カントリー)」という言い方ができたが、2025年になって状況は大きく変わってきている。「S&P500」の動きが「NASDAQ100」と比較しても弱い。2022年以来、たびたび指摘された「S&P500」の割高の是正がついに始まったのかもしれない。
「S&P500」をはじめとした米国株式が大きく下落し始めたのは、米トランプ大統領による大規模な関税政策の発動による影響だ。特に、4月2日「解放の日」に発表された全世界を相手にした「相互関税」の発表によって米国経済の先行きに対する懸念が沸騰することになった。輸入品の価格に関税が上乗せされることによって米国の物価が上昇する懸念が高まるとともに、貿易交渉で最も強硬な姿勢をみせている中国が米国の国債を交渉材料としているようで米国債価格が下落(金利は上昇)し始めてもいる。物価上昇に金利上昇が重なれば、いわゆる「スタグフレーション」の状態となり、かなり深刻な景気後退に陥る可能性がある。4月上旬に米国株価が大きく崩れたのは、発表された関税策の規模の大きさに、経済に与える影響の大きさが重なって見えたからだろう。
ただ、関税が90日間停止されることが発表されると、極端な変化が起きないのではないかという安心感が広がって、4月中旬以降には株価は戻り歩調に転じた。そして、5月の中旬以降は戻り相場が一巡している。
この過程において、4月上旬の株価は「NASDAQ100」が最も大きく下落することになった。「S&P500」の下落率は「NASDAQ100」より小さかったために、戻り過程においても戻りが早かったものの、5月中旬には戻りの水準において「NASDAQ100」に追いつかれている。「S&P500」の反発力の弱さが気になる。
一方、「つみたて投資枠」の売れ筋に入っているバランス型「8資産均等」や「4資産均等」は、今回の下落局面において下値抵抗力の強さをみせた。もちろん、これらのバランス型ファンドは、「S&P500」が調子よく上昇している時には、上昇に取り残されてパフォーマンスが悪いファンドとして見向きもされなかった。こういったファンドは、市場の環境が悪くなると見直される傾向にある。引き続き米国株をはじめ世界の株式市場は不安定な状態が続くと見通され、分散投資に徹するバランス型が優位な展開が続きそうだ。