一般的な会社員が使える「所得控除」とは?

確定申告では、所得の合計額から各種控除の額を差し引いたうえで納税額を算出する。控除の種類は全部で15種類あり、適用されるための条件はそれぞれ異なる。

なかでも、配偶者や子を扶養している場合に適用される「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」や、民間の保険料に対する控除である「生命保険料控除」「地震保険料控除」などは、年末調整の際も計算される。

ここでは、確定申告ならではの所得控除である「医療費控除」と「寄付金控除」について見ていこう。

医療費控除

医療費控除とは、自身や同一生計の家族の医療費が一定額を超える場合に受けられる控除だ。控除される金額は以下の計算式で求められる。

(実際に支払った医療費の合計額ー保険金などで補填された金額)ー10万円

医療費控除では、最大で200万円までの金額が控除される。なお、年間の総所得金額が200万円未満の場合は、差し引かれる金額が10万円ではなく総所得金額の5%になる。

また、医療費控除には特例もある。健康の維持や疾病予防のための健康診断や予防接種を受けている場合、一般の医薬品の購入費のうち1万2000円を超える部分を控除する「セルフメディケーション税制」だ。セルフメディケーション税制では、一般の風邪薬や漢方薬などの購入費も控除の対象となるため、より多くの人が制度を利用できる。

ただし、セルフメディケーション税制は、医療費控除との併用はできないため、どちらを利用するのがよりメリットが大きいかを計算のうえ判断しよう。

寄付金控除

寄付金控除とは、国や地方公共団体などに対して「特定寄附金」を支出した場合に受けられる控除だ。最も一般的な控除対象は「ふるさと納税」による地方自治体への寄附だろう。

ふるさと納税とは、任意の地方自治体に寄附金を贈る制度だ。寄附金のうち2000円を超える部分を対象に、所得税と住民税の両方が控除される。会社員であればワンストップ特例制度という簡易手続きで完了するが、自営業者や6カ所以上の自治体に寄附した場合、控除を受けるには確定申告が必要となる。制度を利用している人は忘れないようにしよう。