三菱UFJアセットマネジメントが手がける新たなETF、「MAXIS S&P500均等ウェイト上場投信」(銘柄コード:383A)が6月30日、東京証券取引所に上場した。一般的なS&P500指数に連動するインデックスファンドと同じ銘柄に投資しつつ、組入比率を均等にすることで分散効果を強化するコンセプトを打ち出す。オーソドックスなインデックス投信との併せ持ちの選択肢としても支持を集める可能性がありそうだ。

四半期ごと「逆張り」の調整
一般的なS&P500指数は、組入対象銘柄の規模(時価総額)に応じて構成比率を決定する「時価総額加重平均」を用いている。世界最大の経済大国の成長の果実を享受できるとあって、日本国内の個人投資家の間でも人気が高い一方、足元ではマグニフィセント7と呼ばれる一部巨大テクノロジー企業に組み入れが偏っているとの指摘もある。
同ETFの連動先であるS&P500均等ウェイト指数は、組入先の企業規模にかかわらず、あえて構成比率を0.2%ごとに均等にならす。構成上位10銘柄の構成比率は2.5%で、通常のS&P500(34.1%、2025年4月末時点)の10分の1以下に抑えられている。
一度組み入れた銘柄も時間がたてば、当然、株価の変動によって構成比率が均等ではなくなっていく。そこで同指数は四半期ごとに、値上がり銘柄の組入比率を引き下げ、逆に値上がり銘柄を引き上げるリバランスを実施する。三菱UFJアセットはこの比率調整を「逆張り型のウェイト調整」と呼んでいる。

同社によると、S&P500均等ウェイト指数との連動を目指す上場ETFは、既に米国で支持が拡大しており、同様の運用を行う米国の上場投信は、過去5年間(2015年4月~2025年4月)で、残高と口数がそれぞれ6.4倍、3.6倍に拡大したという。それ以前の5年間(2010年4月~2015年4月)ではどちらもほぼ横ばい基調で推移していたことからも、コロナ禍後のテクノロジー銘柄への資金集中を背景に、分散効果に対する意識がいっそう高まっている状況がうかがえる。
時価総額加重とともに「それぞれに良さ」
東証で上場当日に行われた上場セレモニーでは、三菱UFJアセットマネジメントの川上 豊・常務執行役員(マーケティング部門長)、大久保 隆・常務執行役員(運用部門副部門長〈商品開発部担当〉)、礒江 功・執行役員(カスタマー・コミュニケーション部長)、石崎 健・執行役員(運用企画部長)、荻野太陽・インデックス運用部長ら関係者が参加。東証から上場通知書を受け取り、上場記念の打鐘を行った。
式典後には、糠信英樹・常務執行役員が報道陣の取材に応じた。新規上場の狙いについて同氏は「S&P500の銘柄集中度が高まっている現状において、既存のS&P500とは異なる特性を持つ商品として、分散の効いた商品を併せ持つ1手段として提供することに意義がある」と説明。「時価総額加重型と今回の新商品のそれぞれに良さがあることを投資家に理解していただき、長期的に分散投資の意味合いが徐々に浸透していくことを目指す」と語った。
公募投信ではなくETFの形態を選択した狙いについては、「一般論として、ETFの利用層は金融リテラシーが高い傾向があると認識しており、まずはそういったお客様に、今回の新商品を併せ持つことによる効果を実感していただくのが良いと判断した」と述べ、通常の公募投信に展開する可能性についても否定はしなかった。
※肩書は6月30日時点のもの。