ブラックロック・ジャパンが手掛ける「iシェアーズ NASDAQ トップ30 ETF」(愛称:Qトップ/トップ・オブ・ナスダック、証券コード:392A)が7月30日、東京証券取引所に上場した。分散投資を基本スタンスとしつつ、世界経済をけん引する米テクノロジー企業等の成長力の恩恵を受けるため「ほどよい分散加減」を探るニーズに対応した、新たな選択肢として注目を集めそうだ。

上位銘柄の組入比率に上限を設定

「Qトップ/トップ・オブ・ナスダック」は、NASDAQ100指数構成銘柄のうち、時価総額上位30社に投資する。投資先のうち、特に比重の大きい銘柄については組入比率の上限を設けるなど、「分散」と「集中」のバランスを前面に打ち出す商品設計となっている(1発行体あたり22.5%、上位発行体の合計48%の制限)。四半期ごとに銘柄の入れ替えとともに、時価総額加重平均方式での比率調整を行う。

5月時点での組入銘柄には、アップル、マイクロソフト、アマゾン、ネットフリックス、コストコ、アルファベットなどが含まれている。

ブラックロックは今年1月に、本商品と同シリーズの「S&P500版」にあたる「iシェアーズS&P500トップ20 ETF」も東証に上場している。S&P500は金融銘柄を含めセクターがある程度広範に分散されているのに対し、NASDAQはテック関連企業に集中している傾向がある。「S&P500トップ20」の投資先は20銘柄だが、指数間の性格の違いを踏まえ、新しい「Qトップ/トップ・オブ・ナスダック」は十分な分散効果を確保する観点から、組入数を一回り多い30銘柄としている。

上場当日に打鐘セレモニー

7月30日の上場当日には東証で上場セレモニーが行われた。ブラックロックのマネージングディレクターであるアーティー・アンガラ氏とニコラス・ピーチ氏、ブラックロック・ジャパンのマネージングディレクターである須永真人氏、長浜百合子氏、城圭介氏、同社ディレクターのデイビッド・コリンズ氏らが参加。上場通知書の受け渡しに続き、各人が打鐘を行った。

 

ブラックロック・ジャパンのディレクターで、ETFプロダクト部門の責任者を務める東條健一氏はセレモニー後に報道陣の取材に応じ、「NASDAQ100のパフォーマンスを振り返ってみると、もちろん計測期間によって差はあるが、過去5年間で見た場合、上位30銘柄がパフォーマンスに与えた貢献度は全体の88%ほどに達している。こうした上位銘柄に含まれる大型株や超大型株に絞って投資するニーズの高まりに応えるため、この新たなETFを企画した」と説明。続けて東條氏は「すでにS&P500やNASDAQに投資しているものの、もっと上位銘柄に絞って投資したい、あるいは、トップ30に含まれている個別銘柄への投資はリスクが高すぎると感じるものの、過度な分散は避けたいといったニーズに対応した活用法が想定される。NASDAQ100指数のリターンをより効率よく得る一つの手段になるだろう」と述べた。

今回の「Qトップ/トップ・オブ・ナスダック」や1月に上場した「S&P500トップ20」はサテライト向けの性格が強く、より幅広い投資家のニーズを取り込むために商品ラインアップを拡充する同社の狙いもうかがえる。