トルコリラ建て債券は買い時か?
高金利通貨として知られているトルコリラ。その為替レートは長期にわたって下落し続けています。
2025年11月26日時点の対円レートは、1トルコリラ=3.67円ですが、今から10年前、2015年11月30日時点の同レートは、1トルコリラ=42.24円でした。
対ドルでも大きく下落しています。11月26日は1トルコリラ=0.024ドルですが、2015年11月30日時点のそれは1トルコリラ=0.34ドルでした。このように、トルコリラは対円で約11分の1、対ドルでは約14分の1にまで、その価値が減価してしまったのです。
とはいえ、トルコリラ建てで発行された債券は、高い金利に魅力を感じる投資家がいるからなのか、今も取り扱っている証券会社が存在します。
Jトラスト・グローバル証券はそのひとつで、すでに発行され、債券市場で売買されている既発債を取り扱っています。いくつか事例を挙げてみましょう。
欧州復興開発銀行が発行しているトルコリラ建て債券の利率は、2025年11月26日時点で年30.00%、償還までの期間は約1年と6カ月で、償還まで保有した際の最終利回りは、年33.081%です。いくら日本の長期金利が上昇しているとはいえ、その利回りは1.800%前後ですから、いかにトルコリラ建て債券の利回りが高いか、お分かりいただけると思います。
仮に年30%としても、そのリターンは極めて高いと言えるでしょう。上記債券の受取シミュレーションを使って購入金額、受け取れる利金、そして償還金額を計算してみましょう。Jトラスト・グローバル証券のサイトには、数字を入れるだけで簡単に計算できるシミュレーターがあるので、誰でも簡単に計算できます。11月26日時点の購入単価は95.713で、購入為替レートは1トルコリラ=3.92円です。また購入額面は10万トルコリラとします。すると、経過利息である6万1740円を加えた購入金額は、43万6935円になります。
これを償還までの約1年6カ月間保有することによって得られる利金の合計額は、4万7810トルコリラで、これを為替レートが全く変わらないという前提で円ベースに直すと、利金の合計額は15万1560円。そして受け取れる償還金の額は31万7000円になります。
この時点で、クエスチョンマークがいくつも頭に浮かんでしまった方も多いのではないでしょうか。経過利息を加えた購入金額が43万6935円なのに、なぜ償還金の額が31万7000円になってしまうのか、と疑問に思うのも無理はないでしょう。そもそも債券は、償還まで保有すれば額面金額で償還金が戻ってくるはずですし、償還時の為替レートは、購入時点と変わらない、つまり為替差損は生じないという前提条件のもとで計算されているはずです。
