「こんなにトルコリラは安くなったのだから、むしろ今後は為替差益を狙えるのでは」は甘い!?

確かに、1トルコリラ=3.67円という水準を見ると、下値リスクはほぼ限定的であるようにも見えます。2012年1月からのレートを見ると、2013年4月に1トルコリラ=54.27円という高値があり、そこから3.67円まで下落してきたことからすると、「さすがにもう……」と思うかも知れません。

でも、この10年でトルコリラの対円レートは11分の1にまで減価したのです。現在、トルコが抱えている高インフレ、多額の経常赤字と対外債務、拡大する財政赤字、不安定な政治情勢といった点に改善の兆しが見られなければ、今は1トルコリラ=3.67円でも、中長期的に1円になるリスクは十分に考えられます。そうなったら、実にトルコリラは対円で72.75%もの減価となります。

短期では為替コスト負担があまりに重く、中長期的に見れば不透明要素が多く、トルコリラがさらに減価するリスクを無視できない。こうした点において、いくら高い利回りが提示されているとしても、トルコリラ建て債券への投資は、「割の合わないギャンブル」にしか見えないのです。