マーケットトークの第21回です。

前編では今週147円まで進んだドル安円高の背景について振り返ります。

出所:内田氏

今週のスタートはドル円150円台でした。まず3月4日にトランプ大統領から円安をけん制する趣旨の発言がありました。この発言によって149円台までドル安円高が進んでいます。

トランプ大統領による円安けん制の発言自体は、インパクトはあったものの、一旦は149円台で踏みとどまりました。ただその後、3月4日からメキシコとカナダに対して予定通り関税を発動することがわかり、少しリスク回避的な円高が進みました。

一方で、自動車については1カ月猶予という方針が出され、ドル円が反発。加えて内田日銀副総裁からも追加利上げに対する明示的なコメントがなかったことから一旦150円台を回復しています。

ただ、その後はドル円相場の上値も重い中、米国雇用統計の前哨戦とも言われるADP雇用統計が5日、予想を下回ると少しドル安になりました。

3月6日の午後以降、147円台までドル安円高が進みました。連合が集計した労働組合要求の賃上げ率が6%台と1992年以来の水準だったことから、市場は「日銀の利上げに対する追い風になる」と見込み、利上げ観測から円が買われたと考えられます。そして147円台までドル安円高が進んだという状況です。

この間、一貫してドルがやや軟調に推移したなかで、ドル円相場が1週間を通じて約3円もドル安円高に進み、147円台になった背景は何だったのか。また、一連の動きは果たして円高なのか。この点が今週の一番のポイントです。