資産形成の第一歩にぴったりなオールカントリーだが、“偏り”が潜んでいる点に注意
資産形成の第一歩を踏み出す上で、「オールカントリー・インデックス」(MSCI ACWI=MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス。以下、ACWI)が無難で基本的な選択肢であることはこれまでも述べてきた通りである。実際、世界では数多くのインデックスファンドやETFが同指数をベンチマークに採用しており、「とりあえず全世界に広く分散したい」というニーズを満たす手段として多くの投資家に支持されている。
ACWIの最大の魅力は「合理性」と「わかりやすさ」にある。市場全体の動きを広く取り込みながら、追加的な判断や調整を必要としないという点で、長期投資の「核」として選ばれるのも自然な流れだ。
ただし、ACWIには構造的な偏りが存在することも忘れてはならない。実際、ACWIでは米国株が全体の6割前後を占め、さらにその大半をアップルやマイクロソフトなどのメガテック株が牽引している。これにより、特に近年は高いパフォーマンスを実現してきたが、名目上は「全世界分散」でありながら、結果的には米国テック株への集中投資になっているという側面も持ち合わせている。
この構造は今後も米国大型株が成長し続けるシナリオにおいては強みとなるが、仮に米国株の調整局面が訪れた場合、投資家が想定していた「世界全体の分散効果」が十分に発揮されないリスクがある。