新NISAの制度開始から約1年半。突如として訪れた株式市場の調整と円高進行により、NISA口座内の含み益が一気にマイナス圏に沈んでしまったという人も少なくないだろう。そうした中、株式市場が不安定な動きを見せる中でも堅調に上昇を続けていた金(ゴールド)に興味を持ったという人は多いのではないだろうか。

今年3月14日、ニューヨークの金(ゴールド)先物価格は史上初めて3000ドル(1トロイオンスあたり)を上回った。中央銀行の買いに加え、トランプ米大統領による関税政策や世界的な経済の先行き不透明感が金価格の押し上げ要因となっている。

価格を追うのではなく、ポートフォリオの緩衝材として10~30%加える

投資では、「安いところで買って、高いところで売る」ことが理想ではあるが、金については、最初から分散投資の一つのパーツ、つまり、「脇役」として考えることをおすすめする。なぜなら、金に期待する役割は2つあるためだ。

1つは、株式や債券といった伝統的資産の補完。

そしてもう1つは、分散効果による運用効率の向上である。分散投資は、時間分散と資産分散の掛け合わせによってその効果が最大限に発揮される。時間分散は、積み立てを実践することで自動的に実現できるが、資産分散を実践するには一工夫を加え、性格の異なる資産を組み合わせる必要がある。

分散効果を着実に享受するには、購入と売却のタイミングで狼狽するのではなく、ポートフォリオの「緩衝材」として捉えることが重要だ。目安となる割合は、ポートフォリオ全体の10%程度、多くても30%程度と考えておくとよい。