2023年から上昇傾向、高値圏でもみ合い PBR 0.86倍
TOPPANホールディングスの株価は2023年に上昇トレンドを迎えました。当時に株主還元を強化したことや、外資系ファンドが同業の大日本印刷へ投資したことに伴う連想買いが追い風になったと考えられます。2025年2月には上場来高値となる4866円まで買われました。
なお、上昇には一服感もあります。2024年ごろから上昇ペースが落ち着ついていたところ、2025年4月に米国の関税政策で3400円の安値をつけました。現在はやや反発し、3800円台で推移しています。とはいえ、直近5年間の上昇率はプラス120.7%(2.2倍)と高水準です。
【TOPPANホールディングスの株価チャート(過去5年間)】
・株価:3842円(2025年5月28日終値)
株価は高値圏にありますが、PBR(株価純資産倍率)は0.86倍と低い水準です。PBRとは純資産に対する株価の倍率を指します。純資産は株式価値の裏付けであり、1倍がちょうど株価と価値が釣り合っている状態といえます。一方、TOPPANホールディングスのように1倍を割り込む状況は、株式の評価が十分でない可能性を示唆します。
【TOPPANホールディングスのPBR(2025年5月28日終値)】
・1株あたり純資産:4471.44円
・PBR:0.86倍
・(参考)東証プライムPBR:1.3倍(2025年4月)
※純資産は2025年3月末
※東証プライムPBRは加重平均
出所:TOPPANホールディングス 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料
TOPPANホールディングスは、株価が低い理由の1つに「コングロマリット・ディスカウント」があるといわれています。コングロマリット・ディスカウントとは、多角化のあまり投資家が事業の全貌を理解できず、株価が割り引かれる現象のことです。
TOPPANホールディングスは多くの事業を展開していることから、たしかに理解は難しいかもしれません。今回は同社を取り上げ、すべての事業セグメントを分解して解説します。