営業利益は直近10期で最高、今期も増益計画 関税は未織り込みも影響軽微
最後に業績も押さえておきましょう。
TOPPANホールディングスの最終利益は2020年3月期~2022年3月期に大きく拡大しました。政策保有株式の縮減などから、投資有価証券の売却益が拡大したことが主因です。純利益は2022年3月期に1231億円へ達しました。これは過去最高益とみられます。
しかし、純利益は2023年3月期に大きく減少しました。投資有価証券の売却益が減少したほか、減損損失が拡大したことが背景にあります。その後は再び投資有価証券の売却益が増加したことから、純利益は増益の傾向です。
なお、営業利益ベースではおおむね順調に成長しています。情報コミュニケーションが停滞する一方で、エレクトロニクスが利益を急増させたほか、生活・産業も堅調に推移し、全体の成長を支えました。連結の営業利益は2025年3月期で840億円に達し、直近10期で最高となっています。
営業利益は今期(2026年3月期)も増加を見込みます。エレクトロニクスが為替影響から減益を予想する一方、生活・産業がパッケージ・建装材ともに好調で増益をけん引するほか、情報コミュニケーションもデジタルビジネスを中心に増益の計画です。
【TOPPANホールディングスの業績予想(2026年3月期)】
・売上高:1兆8800億円(+9.4%)
・営業利益:920億円(+9.4%)
・純利益:650億円(-27.3%)
※()は前期比
※2025年3月期時点における同社の予想
出所:TOPPANホールディングス 決算短信
なお、上記の計画値に米国の関税影響は織り込まれていません。もっとも、TOPPANホールディングスの直接輸出は売り上げベースで100億円程度です。見通しは不透明ですが、現時点では影響は軽微と考えられます。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)