1900年創業の老舗企業、社名から「印刷」外す 情報系はDXの深化に注力
まずは簡単にプロフィールを確認しましょう。TOPPANホールディングスの創業は1900年です。設立時の社名である凸版印刷は、当時の先端技術「エルヘート凸版法」に由来します。
現在、同社が展開する消費者向けのサービスで著名な例を挙げると、電子チラシの「シュフー」や地図検索の「マピオン」などがあります。また、子会社には電子書籍のブックライブや児童書のフレーベル館を持ちます。
社名は2023年にTOPPANホールディングスへ変更しました。同時に持株会社制へ移行し、旧トッパン・フォームズを統合したTOPPANエッジのほか、TOPPANとTOPPANデジタルの3社を中核に事業を展開します。なお、中核3社は2026年4月にTOPPANへ統合される予定です。
では事業内容に入ります。全体を俯瞰すると、事業セグメントは「情報コミュニケーション」と「生活・産業」、「エレクトロニクス」の3つがあり、さらに計8つのサブセグメントに分かれます。複雑ですが、分かりやすく解説します。
まずは情報コミュニケーションです。これはシステム会社に近い領域です。システムの開発などを通じてデジタル化サービスを提供し、業務の効率化を支援します。システムの開発にはハードウェアの提供も含まれます。また、顧客に金融機関や自治体を持つことも、システム会社に似ているところです。
一般のシステム会社と異なる点は、事業範囲の広さです。情報コミュニケーションには業務の代行(BPO)といったサービスも含まれており、たとえば自治体向けではワクチン接種の運営も手掛けます。なお、祖業である印刷関連の事業も、このセグメントに含まれます。
【情報コミュニケーションセグメントの概要(2025年3月期)】
※BPO(Business Process Outsourcing)…業務の外部委託
※3PL(3rd Party Logistics)…物流業務を第三者が包括的に請け負うサービス
※サブセグメント営業利益は売上構成比および営業利益率から概算
情報コミュニケーションにおいて成長事業に据えるのが「デジタルビジネス」と「BPO」です。両事業を「Erhoeht-X(エルヘートクロス)」と定義し、経営資源を集中させています。エルヘートクロスは、特に主要3領域へ注力し、事業の成長を図ります。
【「エルヘートクロス」の主要3領域の概要(2025年3月期)】
※営業利益は売上高および営業利益率から概算