今年、井出子商事に入社した新入社員の新 米子(しん・まいこ)。人事総務部に配属され、確定拠出年金(DC)の担当を任されることに。早速、先輩社員の部手蘭丸(べて・らんまる)から、iDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)についての理解を深めるよう指示を受けるが、当の蘭丸は早々に具合が悪いと言い残して医務室へと消えてしまう。途方に暮れる米子の前に登場したのが二人の上司である人事総務部長の井出小太郎(いで・こたろう)。早速、米子は戻ってきた蘭丸とともに井出による新(真・シン)iDeCoゼミナールを受けることに。今回は「始める前に知っておきたいiDeCoのメリット、デメリット」について。
iDeCoと選択制DC(給与型)の違い
井出 iDeCoの優遇措置を使い切れていない人は多いと前回「iDeCoとNISA、企業年金、持株会…多様な資産形成の選択肢から何を選ぶ?」※、お話ししました。
そこでよくある疑問「掛金の拠出時における税制優遇」についてです。
「企業型確定拠出年金(企業型DC)の1つである選択制DC(給与型)と同じではないか?」という声にお答えすると、実は同じようで、同じではないのです。
※関連記事「iDeCoとNISA、企業年金、持株会…多様な資産形成の選択肢から何を選ぶ?」
よくある疑問「掛金の拠出時における税制優遇」iDeCo⇔選択制DC
・iDeCo では、多くの人が優遇措置を使い切れていない ⇒特に拠出時の優遇は、選択制 DC(給与型)とは同じようで、同じではない(企業型 DC のマッチングとは同じ)
・iDeCo に拠出しても給与は減らないが所得控除の効果を得ることができる(iDeCo vs 選択制 DC)
*将来の公的年金が減少することはない⇔将来の社会保険からの給付額が低くなる場合がある
*残業代が減ることはない⇔残業代の単価が下がる場合がある
*失業手当(雇用保険)、傷病手当金(健康保険)は変わらない⇔失業手当、傷病手当金が減る場合がある
※iDeCo と企業型 DC(選択制・マッチング)の比較は上記だけでは全てを語れないので別途解説
井出 何が一番違うかというと、iDeCoに掛金を拠出しても「給与」は減らない点です。iDeCoに拠出する時は、給与として受け取ったお金から掛金を払いますよね。その掛金は全額所得控除の対象となります(小規模企業共済等掛金控除)。
つまり、給与として受け取ってから「iDeCo」に掛金を拠出するか、または会社で選択制DCに加入していれば給与で受け取る代わりに「企業型DC」に掛金を拠出するか。同じ「掛金」として考えた場合、後者は会社掛金としてDCに拠出されるため「給与」としての受け取りは減ります。しかしiDeCoで同じ金額を拠出するとしたら、いったん給与で受け取ってから自分でiDeCoに拠出し、その掛金は全額所得控除の対象となります。これがiDeCoと選択制DCを比べた時の一番大きな違いです。ただし企業型DCでマッチング拠出が可能な場合は、iDeCoと同様に、加入者(従業員)の掛金の分は全額所得控除の対象となります。
