金関連の投資信託と純金積立、コストで比較すると…

金投資初心者なら、投資信託の積立か純金積立をおすすめしたい。両者の大まかな違いについて、まずは下記の表を参照してほしい。

●投信積立と純金積立の違い(楽天証券の場合)

筆者作成
 

両者とも毎月一定金額を積み立てることで、ドルコスト平均法の効果を享受できるという点では共通しているが、投資信託はあくまでも有価証券を通じて間接的に金に投資する「バーチャル」な投資形態であるのに対し、純金積立は文字通り、金の現物を積み立てていく形になる。したがって、金が一定数量貯まると、取扱業者が指定するサイズ(楽天証券の場合100グラム~)の地金(インゴット)として引き出すこともできる。所定の手数料と配送料がかかる点には注意が必要だが、より「手触り感」を得たい、あるいは、将来的な相続ニーズがある場合は、純金積立を選択肢に入れても良いだろう。

「投資信託の方がコストが安い」と言い切れない理由

また、投信積立と純金積立を比較する際、「投資信託の方がコストが安い」と言われるが、この点についてはもう少し踏み込んで考えてみてほしい。両者のコスト体系は「何に対して手数料がかかるか」という点で大きく異なる。

投資信託の場合、原則として積立時に手数料はかからないが、投資信託を保有している間、保有資産全体に対して信託報酬がかかる。

これに対し純金積立は、積立時に都度手数料がかかる(楽天証券の場合、売買代金の1.65%)。ただし、投資信託のように保有資産そのものに対するコストは原則としてかからない。したがって、積み立てた金地金が500グラム、1キログラムと増えていったとしても、投資信託の信託報酬のように、累進的にコスト負担が増えることはない。

金関連投資信託の信託報酬率はファンドによって差があるため、単純比較は難しいが、このように、投資信託が「常に」コスト面で有利かというと、そうとも言い切れないのである。積み立てる期間が長期になればなるほど、コスト面で純金積立に優位性が出ることもあるという点は覚えておこう。

なお、投資信託の具体的な銘柄については過去の本連載で解説しているので、そちらを参照してほしい※。

※2024年5月公開【上昇し続ける「金」価格…新NISAで買える「金」投信は? 為替ヘッジあり・なしはどう決める?】ご参照