世界的に有事ムードが高まり、株式市場が不安定な動きを見せるようになると、たびたび安全資産としての金(ゴールド)に注目が集まる。3月以降の金価格上昇のニュースを目にして「やっぱり金は持っておいた方が良いのでは」と思った人も多いはずだ。あるいは、これまで何度も金投資を検討したものの、「今が高値でこれから下がるのでは」と不安になり、なかなか一歩を踏み出せずにいるという人もいるのではないだろうか。
そこで今回は、新NISAで実現できる、「失敗しない」金投資のポイントについて解説する。
「名バイプレイヤー」として金を取り入れる
金の投資タイミングに翻弄(ほんろう)されてしまう人は総じて、金を保有資産の「主役」として捉えがちだ。「安いところで買って、高いところで売る」のが投資の王道ではあるが、金については、最初から分散投資の一つのパーツ、つまり、「脇役」として考えた方がよい。なぜなら、金に期待する役割は2つあるためだ。
1つは、株式や債券といった伝統的資産の補完。そしてもう1つは、分散効果による運用効率の向上である。分散投資は、時間分散と資産分散の掛け合わせによってその効果が最大限に発揮される。時間分散は、積み立てを実践することで自動的に実現できるが、資産分散を実践するには一工夫を加え、性格の異なる資産を組み合わせる必要がある。例えば、既に株式を保有、あるいは、積み立てているなら、金は格好の分散先と言える。
分散効果を着実に享受するには、購入と売却のタイミングで狼狽するのではなく、ポートフォリオの「緩衝材」として捉えることがまずは重要だ。目安となる割合は、ポートフォリオ全体の10%程度、多くても30%程度と考えておくとよい。