「為替ヘッジのあり/なし」はどう判断すれば良いか

外貨建て資産に投資を行わない「三菱UFJ 純金ファンド」を除く15ファンドを、為替ヘッジの有無で整理すると、「ヘッジあり」は8本、「ヘッジなし」は7本。どのシリーズも、基本的に為替ヘッジ「あり」と「なし」がペアで展開されているので、好みに合わせて選択することもできる。

一般的に金価格は、株や米ドルの値動きと逆相関の関係にあるとされる。市場でリスク回避的な動きがあり、米ドルベースの金価格が上昇する局面では、ドルが売られ、為替が円高方向に振れることが多い。せっかく金価格が上昇しても、円高が進むとリターンも押し下げられてしまう。したがって、理論上は、「為替ヘッジあり」を選んだ方が、為替変動による負の影響も取り除かれ、資産分散効果を着実に享受できる。

しかしながら、現実には金価格と米ドルは必ずしもセオリー通りの値動きを見せるわけではない。現に、足元数年は、金価格が上昇しても、ドルが売られるどころか買われ、円安が進行している。「為替ヘッジなし」を選び、為替変動を含む金価格の値動きをダイレクトに享受した方が良いだろう。

「時代に合った」バランス型は一括投資にも

また、金をあらかじめポートフォリオの「緩衝材」として取り入れたバランス型ファンドもある。バランス型の場合、金を組み入れている理由が明白で、個別の投資信託を自分で組み合わせなくても、より手軽に資産分散が実現できるというメリットがある。

その一例が、ピクテ・ジャパンの「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)」である。当ファンドは、2020年6月の設定で、金利上昇局面を見越して組成された「時代に合った」バランス型ファンドと言える。

では、このファンドの何が「時代に合っている」のか。日本を含む世界の株式と債券に加え、金を投資対象としているところまでは、過去に設定された類似のバランス型と変わらないのだが、各資産の配分比率の調整方法に特徴がある。具体的には、取ったリスクに見合う、魅力的なリターン(リスクプレミアム)が期待できる資産を都度選定し、配分を調整する点に特徴がある。例えば、低金利環境下で、利息を生まない資産である金の魅力が相対的に高い時は金の組入れ比率を高くし、一方で、金利上昇時は、金の比率を下げ、債券の比率を高めるといった対応を行う。この結果、低金利局面と高金利局面の双方でリターンの獲得が期待できるというわけだ。

月次報告書によると、3月末時点の配分比率は、株式が42.7%、債券が9.8%、金が44.5%となっている。設定当初は債券の組み入れがなく、株式と金で約5割ずつという配分だったが、1年半ほど前から債券も組み入れている。積極的なリターンを目指すだけでなく、資産保全の色合いも持つファンドであり、まとまった資金の投資先としてもおすすめしたい。