新NISA目前で、信託報酬の引き下げ競争はさらに熾烈(しれつ)に…

新NISAの開始を目前に控え、インデックスファンドの世界でさらなるコスト引き下げの波が押し寄せている。

新ファンドの設定と、それに追随する形で既存ファンドが信託報酬を引き下げるという構図は、これまで幾度となく繰り返されてきた。信託報酬率が低いということは、運用会社と販売会社、双方の実入りも相応に小さい。運用会社は必然的に「コストが低い」といううたい文句を武器にシェアを取りに行くこととなり、また、販売会社もポイント付与などのインセンティブを掲げて残高を積み上げていく必要がある。低コストインデックスファンドが資産形成のコア(中核)として定着した今、販売会社を巻き込んだ完全な「陣取り合戦」状態となっていることは否めない。

他方、投資家目線に立った場合、インデックスファンドのコスト低下は歓迎すべきトレンドと言える。というのも、インデックスファンドは、商品性に大きな違いがなく、信託報酬率の差が運用成績に直結するためだ。同じインデックスへの連動を目指すファンドなら、理論上、信託報酬は低いに越したことはない。

投資家側にもこうした知識が浸透するにつれ、コストを抑えるための工夫を凝らしたファンドの設定が目立つようになった。

ではここからは、本数が増加傾向にある低コストインデックスファンドを、運用手法別に解説するとともに、新NISAに向けて心得ておきたいポイントについても触れていく。