今回は、筆者が直近、セミナーで参加者から受けた質問を3つご紹介する。

依然不安定な相場環境が続く中、昨年までの質問とは明らかに傾向が異なっている。ここにきて自分の投資スタイルに不安を覚えるという方はぜひ参考にしてほしい。

買ったとたんに下がってしまった投資信託の対処法は?

「インド株、半導体関連株、NASDAQ……どれも買ったとたんに下がってしまって、心が折れかけています。長期投資が前提ではありますが、こういう時は追加購入した方が良いのでしょうか?」

回答:いずれも市場の過熱感があったことは事実。投資タイミングを見誤ったという感覚があるなら、追加購入よりも積立に切り替えることを検討して。

足元ではトランプ米大統領による相互関税発動を受け、世界的に株式市場が不安定に推移していますが、そもそもNISA元年の昨年、2024年に人気を博したインド株、半導体関連株、そして米国のハイテク株(NASDAQ)は、「買いが買いを呼ぶ」状態にあったということを認識すべきでしょう。

これは株式市場で割と頻繁に見られる現象で、価格が上昇する過程で、波に乗り遅れるまいと多数の投資家からの資金が流入する結果、株価が上昇を続けるのです。特にインド株式は、近年市場規模が飛躍的に拡大しているとはいえ、米国と比べるとはるかに小さく、世界中のお金が殺到したことで短期間のうちに市場全体が大幅に上昇してしまったのです。

その意味で、まず、インド株、半導体関連株、米国ハイテク株については、極端な過熱感が収まったと見るべきです。加えて日本の投資家はこれまで、円安進行によって生じた為替差益がリターンに上乗せされていたため、足元で為替が円高方向に振れたこともマイナスに作用しました。今後も、半導体関連株などは特に、トランプ政権の政策に振り回される展開が続くとみられますが、それ自体は短期的なものにとどまるでしょう。長い目で見れば、どれも投資テーマとしてはまだ十分に魅力があると考えています。

長期投資が前提で、投資タイミングを見誤った、または、高値づかみをしてしまったという感覚を持ったのであれば、余裕資金で再度一括投資をするよりも、積立に切り替えることをおすすめします。積立なら、下落時に口数を積み上げることで、その後価格が上昇に転じた時に資産全体のリターン回復が期待でき、市場の下落を味方につけられます。

既に積立を行っているという方は、今こそが耐えどきと思って続けましょう。積立投資では、開始当初よりも終盤期の成績の方が、資産の増え方に与えるインパクトが大きいためです。コツコツと積立を続けて増やした口数を、終盤期にいかに効果的にリターンにつなげられるかが、積立成功のための秘けつであるということを忘れないでおきましょう。